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七十六話 理論的な ページ28

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彼が手を離してすぐ、A達は元の場所に戻っていた

交差点のど真ん中で座り込む数名の人々。

『よかった……戻ってこれた』


谷崎はすぐにナオミの所へ駆け寄り、賢治はお年寄りの女性を助けているのを見てほっとする
敦がルーシーに近寄り声をかけようとすると、森の叫び声が響いた

「大丈夫だったかい何処にいっていたのだい」

「心配したのだよう 突然居なくなるから」

余程心配していたのか、泣きながら少女に縋り付く森

「急に消えたらリンタロウが心配すると思って」

「そしたら泣かせたくなった」

サラッと辛辣な言葉を吐くエリスに、森は泣き叫びながらも″かわいいから″その理由で許した

敦がその光景に引いていると、後ろから何かが抱きつく感覚がした

「鏡花ちゃん!」

『泉さん』

「心配した」

「……ありがとう」

″誰かに心配されることが、ここまで羨ましいのか″

ぼーっとしていると、声を掛けられた

「それでは私達は失礼するよ」

助言(アドバイス)有難う御座いました。そう云えばお医者さんなのですか?」


「元医者だよ今は小さな寄合いの仕切り屋中年さ」

どこが小さいんだ……と呆れたように森を見つめるA。その時エリスと目が合う

「少年。どんな困難な戦局でも必ず理論的な最適解は有る 混乱して自棄になりそうな時ほどそれを忘れては不可ないよ」


「じゃあね、A!」


その途端鏡花の携帯が落ちた

「鏡花ちゃん?!」

顔面蒼白な鏡花に焦る二人

『(そりゃあそうだ__自分を駒のように使った相手だからな__)』

『泉さん、深呼吸してほら___平気だから』



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作者名:舞。 | 作成日時:2019年10月31日 21時

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