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六十二話 運命は複雑に ページ14

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海をゆっくりと揺蕩う、一隻の豪華客船。
その客室では、薄い金色の髪を持つ男がソファーで優雅に足を組んでいる。


「......時間だ」


男は腕に嵌められた特注の時計を確認する。

「島国の田舎マフィアめ、約束の時間も守れないとは とんだはんちく(・・・・)だな!」


男は一度鼻で笑い、そう言い捨てると、パソコンの近くに置かれたマイクに手を伸ばす。

「聞こえたか?懸賞金作戦は失敗、どうしたものだか」

「どうぞお好きに」


最初に返事があったのは、可憐な女性の声だった。

(わたくし)達が手袋(ハンドウェア)を汚す程の相手ではありませんもの____(わたくし)達が欲しいのは、瑠璃菊(ストケシア)のみです」


《時計塔の従騎士》近衛騎士長

デイム・アガサ・クリスティ爵

能力名『そして誰もいなくなった(And Then There Were None)



「全て予想の通りです、いずれにしても僕たちは勝手にやらせてもらいますよ」

「__嗚呼、でも彼女の異能力は予想外でした。真逆(シールド)だったとは__まあ変わりません。」


続いて返ってきたのは若い男の声。
指を噛み、彼は続けて云った


「神と悪霊の右手(めて)が示す通りに」


地下組織《死の家の鼠》頭目

フョードル・ドストエフスキー

能力名『罪と罰(Преступление и наказание)



「ご機嫌よう」

「__ではまた」


其々殆ど同時に、一方的に通話が終えられた。

「協調性のない貧乏人どもめ」突然切られた通信に男は呆れたように笑う。
右手でワインが入ったグラスを揺らした。

その時、男の視線は壁に掛けられてたダーツ盤に向けられる。
中央には一枚の写真が貼られ、数本の矢が全て写真に刺さっていた。


「まあいい。二番手が利益(プロフィット)に与れる道理は何もない____『約定の地』も瑠璃菊(ストケシア)も、我ら《組合(ギルド)》が必ず頂く」




能力者集団《組合》団長

フランシス・スコット・キー・フィッツジェラルド

能力名『華麗なるフィッツジェラルド(The Great Fitzgerald)




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六十三話 あなたがしたいこと→←六十一話 変装。



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作者名:舞。 | 作成日時:2019年10月31日 21時

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