【ベイブレードバースト】ユーフォリア【短編】

９：最期の言葉と最期のキスを ページ9

あの日から、三ヶ月がたった。


今日は４月８日で、窓からは満開の桜を見ることができる。

花びらが風に揺れて、病室にヒラヒラと舞う。
とても綺麗で儚く、散っていく様子が少し不安を思わせる。



｢......｣



昨日、ずっと考えた。

どうやったら二人で一緒にいられるのか。
それは何となく、フワフワと答えは出てきた。

そして、もう一つ考えていた。

二人にとっての幸せとは。

答えは見つからなかった。
これはバルトと話さないとわからないこと。


｢バルトにとっての、幸せは？｣


答えてくれない。
そもそもバルトは考えもしなさそうだな。

『シュウと一緒にいること！』

なんて、言ってくれたら嬉しいなぁ......。

と、自分で考えて自分で恥ずかしくなる。
バルトのバカがついに移ったか。


｢好き｣


バルトと過ごした日々が、頭の中でコマのようにくるくると回る。


｢大好き｣


バルトがいた毎日は、とても幸せで、心がギュッとした感じだった。

全てが広く見えて、とても楽しくて、居心地が良くて、全てが美しく色づいて見える。

幸せが溢れる世界だった。


でもバルトがいない毎日は、なにかぽっかりと穴が空いたような感覚で。

退屈で窮屈で苦しくて、全てが色褪せて見える。
楽しくない世界。


｢なあ、バルト...｣


オレは今、お前のおかげで生きているんだ。
すごく感謝してる。
でもオレは、お前がいない世界なんて、どうでもいいよ。



｢バルト、本当にありがとう。でも...ごめん......｣



呼吸器を外し、そっとキスをする。
これが最期のキス。

そして...最期の言葉。



『バルト...愛してる......』

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