【ベイブレードバースト】ユーフォリア【短編】

４：ああ、神様...... ページ4

実感がわかないまま、バルトの主治医と千春さんと一緒に白い廊下を進み、ある部屋の前に来た。

プレートには【蒼井 バルト様】と書いてある。

｢ここにバルトが......｣

小さく深呼吸をして扉を開け、中に入る。
白く殺風景な部屋に、沢山の機械があった。
そしてその中に、バルトは眠っていた。

機械の音が耳に響く。
規則正しいリズムで、彼の鼓動がモニターに表示されていた。
ただ眠っているようにしか見えない。
そのうち起きるんじゃないか？
そう思わずにはいられない。

｢.........｣

医者と千春さんが小声で喋りながら部屋を出ていった。
オレに聞かれたらまずい話でもしているのだろうか。
いや、正直いって今はそんなことどうでもいい。

｢バルト、起きろ｣

寝ているバルトに話しかけてみる。

｢バルト。ナポリタンいらないのか？｣

バルトは起きるのが苦手だから、言葉だけじゃダメなのかもしれない。

｢バルト。なあ、起きろって｣

バルトを揺さぶってみる。

｢新年お泊まり会、するんだろ。お前がいないと楽しくないんだから｣

何度も何度も揺さぶる。

｢バルト！｣

起きない、目覚めない。
眠ったまま。

｢......さっきまで隣で笑っていたのに...｣

バルトの主治医の言葉がよぎる。

『君は、バルトくんが庇ってくれたおかけで擦り傷と骨折だけで済んだんだよ』

オレのことを庇ったから、バルトは......。
どうして......。

｢オレが...本当はこうなるべきだったんだ......!!｣

涙がとめどなく溢れ、バルトがもう起きることはないと、やっと理解する。

心臓が握られたように苦しくなり、嗚咽がこみ上げる。

｢っ...あぁっ......あぁぁあぁ......ゔあﾞぁﾞあﾞぁﾞあﾞぁﾞあﾞあﾞぁﾞあﾞぁﾞあﾞあﾞぁﾞ!!!!!!｣



こんなに泣いたのは久しぶりで、苦しくて苦しくて、死んでしまいそうだった。
いっそこのまま死んでしまった方が楽なのに、死ねないのは何故だろう。


バルトは俺を庇ったとき、どれだけ痛かったのだろう。
どれだけ苦しかったのだろう。
どれだけ怖かったのだろう。
どれだけ勇気が必要だったのだろう。
まだ11歳なのに...これからたくさんの未来が待っているのに...。
なんでオレ達だったのだろうか。
なんであの刻だったのだろうか。

オレは神を恨む。

オレ達の全てを崩した運命を憎む。

絶対に許さない。

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