猫は道に迷わない (ページ9)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:2,104 hit

Ⅷ ページ9

音源を作っている間も、御三方は楽器を弾いている私に釘付けだった。

貴『御三方はそれぞれどの楽器が好きですか？』

弾きながら尋ねる。
シールドを通して録音してるから声が入ることはない。

弟｢俺はドラムが好き！大っきいしかっこいいよね！兄者は？｣

兄｢俺はベースだなおっつんは？｣

お｢僕はギターかな。バンドやってた時ギターボーカルっちゅうもんに憧れてたのよ｣

弟｢おついちさんなら今からでもいける！ね！兄者！｣

兄者さんは大きく頷いた。
その様子を見ておついちさんは感動したらしく

お｢なはっ僕頑張っちゃう！｣

ときゅるりんしながらニコニコしていた。

暫くして

貴『音源出来ました！』

貴『一旦聴いてみて下さい。』

♪🎶♪🎶♪🎶♪🎶♪〜

少し暗めのしっとりとした音が流れる。
米津さんの歌に込められた意味を壊さないように、
自分の解釈も入れたうえで出来上がった。

2人マイクに向き合って4振りで歌い始める。

お｢夢ならばどれほど良かったでしょう〜｣

貴『未だに貴方の事を夢に見る〜』

｢｢｢うぇっ｣｣｣

『｢ははははははははははっ｣』

弟者さんと兄者さん、姐さんが合いの手を入れてきた
まさかやるとは思っておらず思わず吹き出した。

でもそのまま続ける。

真面目に歌ってばかりだったが、自分以外の人とわちゃわちゃ
歌うのも悪くない。

おついちさんのメロディーに合わせて気ままにハモリを入れる。
相対音感持ちなので3キー上げたり下げたりするのが得意だ。
でも今日は短調に、段階に挑戦してみる。

2人で歌っていると姐さんがミキサーの横にあったスタンドマイクをいつの間にか繋げ、仲良く3人で歌い始めた。

『｢｢｢｢今でも貴方は私の光｣｣｣｣』

姐｢おついちさん、上手ねぇ｣

弟｢ね！やっぱバンドやってただけある！｣

兄｢高いとこも出るのな｣

貴『音域広いの凄いです！！』

お｢照れちゃう｣

弟｢Aちゃん、次はAちゃんの歌聴きたい！｣

弟者さんに言われる。

貴『えっ？私の？ですか？』

弟｢うん！俺らは聴いてるね！｣

4人で床に並んで座り、私の方を見上げている。

じゃあ、と高校生の時に作った曲を披露しようと、
アコギを持ち、明るいアルペジオを弾く。

大きく息を吸って

貴『君は今笑顔ですか？』