お隣の諸伏くん

お隣27日目 ページ29

「じゃあ、2人は私とお片付けしましょうか。ほら2人とも、Aちゃんが起きた時にそんな顔をするのはダメよ」





さっきまでは必死だったから気にとめなかったけど、思えば目の前の光景はかなりショッキングなもので、ヒロも僕も少し気落ちしていた。




そんな僕らを元気付ける様に声をかけてくれるヒロのおばさんも少し悲しい顔をしていた。





3人で片付けながら、僕は聞いた。







「あの人って、本当にAの父親なの？」




「ええ、本当よ。最初からお酒に弱い人で、日が経つにつれて酷くなってったの」







普段のAとは似ても似つかなくって、あまり親子だとは思えなかった。




Aは怒ることはあっても自分の事じゃ絶対に怒らない子だから。





ヒロも僕もその優しい性格をいつも見ているから、余計にあいつが許せなかった。






「よし、ガラスの破片も片付け終わったわね。2人とも荷物家に置いていらっしゃい、病院に行こうか」






おばさんが車のエンジンをかけている間にヒロの家へ行きランドセルを下ろす。






「Aちゃん、泣いてたね…」




「…だな」




「僕たちが、守らなきゃ…ね、ゼロ」




「当たり前だろ、ヒロ」






いきなり言い出したヒロに相槌をうっていると、真剣な目でこちらを見てきたから僕も返す。





でもお前はまず仲直りするところから始まるんだからな、なんて言えば目を逸らして小さくはいと答える。




さっきまでの勢いどうしたんだよ…。

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