【実況者】音楽と共に (ページ2)

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ピー…ピー…

そんな音がこの病室に響く。

彼女が、Aが、居なくなる音。

俺はこの音が嫌いだ。

「A…ごめん…守れんかった…」

『いいよ。謝らなくて。貴方のせいじゃないもの』

どうしようもなく、寂しい。

優しくありたい。

困らせたくない。

なんとも言えない俺が、不甲斐ない。

何も出来ない俺がとても格好悪い。

偶然とか、奇跡とか願う事しか、俺には出来ない。

あと何日彼女と居れるのか考えていた俺が、

彼女に嘘しか言えなかった俺が、

とても、嫌いだ。

一瞬、外を見た。

風は吹いていない。

機械音が響き続ける静寂な空間が、俺の心を揺らす。

三月がずっと続けば。

嘘をつかず、包み隠さず、彼女に伝えられる。

街中でよく流れる、ラブソングのように胸が痛い。

彼女には酷い言葉を言ったこともある。

変な秘密を言ったこともある。

それが、彼女の中で思い出になっているのが、とてつもなく怖い。

なぁ、桜さんや。

落ちてく花びらは、要らんもんなんか？

そのままが一番綺麗やのに。

このまま、時が止まれば＿

それが一番、幸せやったかもな。