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────何が起きているのか分からない。まだ夢の中なのだろうか。五条君に似た人が、私に手を差し伸べている。
「おや、お客様、お知り合いでしたか?」
「まぁね。もう部屋まで送んなくていい、俺が運ぶ」
「お荷物の方はどうされますか?」
「高専に送り返しとけ」
「かしこまりました」
ねぇ、やめてよ。これ以上こんな都合のいい夢見てたら、逃げたくなっちゃうじゃん。
頭ではそう思っても、身体が自然とその人物の手を取ろうとする。
伸ばしかけた手を、五条君に似たその人が握った。そのまま、強引に引っ張られて、車の中から出る。
門灯に当てられて分かる顔立ちは、紛れもない五条君。
「に、偽物…?」
「なんでそうなるんだよ……俺が先輩を買ったの」
いたずらっ子の笑みで、私にそう告げる。
「本当に…?本当に五条君なの?」
「だからそうだって言ってんじゃん。行こう先輩、分家に無理言って部屋空けさせてるから」
信じられなくて腰が抜けてしまった。開いた口が塞がらない。そんな幸せなことがあっていいのだろうか。
動けないでいると、五条君が私をひょいっと抱きかかえた。急に自分の身体が宙に浮いて焦る。
所謂お姫様抱っこの状態になると、五条君は運転手に一言声をかけて、屋敷の中に私を運んだ。
「ねぇ。待って、まだ理解出来ない。なんで五条君がこのこと知ってたの?夏油君から聞いた?」
「いや、俺が本家に頼んで個人的に調べた。そしたら先輩の情報が出てきて、無理言う代わりにちょっと上乗せして買った」
「む…無理って?」
「先輩はずっと五条家で働くことにしろって話。最初断られたけど、納得させた。あのじいさん良い人だね。…それで、なんで傑は先輩のこと知ってんの?」
「え、あ…たまたま、たまたま夏油君にだけ知られちゃって、それで」
「ふーん…なんかムカつく。でもこれで、先輩は完全に俺のもんってわけね」
突き当たったところの部屋の引き戸を、五条君は足で開けた。そのままゆっくりと私を下ろして、扉を閉める。
「もうお試しで付き合うのなし。いい?先輩」
「それはもう…買ったのは五条君だし好きにしてもらって…」
「それで、ちゃんと付き合おう。仮じゃなくて正真正銘の恋人。それもいいよな?」
「うん……え、いやでも、えぇ…?流石に夢?」
「だから夢じゃねぇって」
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バンジ(プロフ) - 是非お願いします!楽しみにお待ちしております(*^^*) (10月1日 19時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - バンジさん» また、夢主、五条悟の能力以外にも、変更する場合がございます。それでもよろしければ、ぜひ続編を書かせてください🙇 (9月28日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - バンジさん» コメントありがとうございます!夢主の反転術式の有無と、五条悟が他人に反転術式を使えない設定を公式そのままにして、考えてくださった展開を続編に使用してもよろしいでしょうか? (9月28日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
バンジ(プロフ) - という感じでどうでしょうか(笑)長文すみませんm(。>__<。)m (9月24日 23時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)
バンジ(プロフ) - に行けば、その分家の娘が五条悟に嫁ぐはずだった。だが、夢主が現れた事で目論みが大きく外れた為、夢主を敵視し大金を積んで伏黒パに依頼していた。それを知った五条がブチ切れ、裏切り者を炙り出す。夢主が静止するも止まらずその分家の家もろとも無下限で押し潰す。 (9月24日 23時) (レス) id: 00dbf37f9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2023年9月20日 17時