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三百五夜。 ページ6

でも、私はこれからアレンに伝えなければいけないことがあるんだ。



泣いていても前には進めない。



アレンの腰に手を置いたまま、私はアレンの目を見つめて口を開く。



『私も、ジョニーと同じようにアレンを助けたくてここまで来たの』


「なっ…!Aまで教団を追われる立場にならなくても良いんです!僕は今まで十分助けてもらいました、もう手助けしてもらうわけには」


『私がしたくてやってることだから。アレンは気にしなくても良いんだよ。それに、私が、アレンの側にいたいの』



そう真剣な声で言えば、アレンは何も言い返さずに口をつぐむ。



『アレンが出て行ってからね、私はずっとルベリエから隔離されてて一人で過ごしてたの。その時に思い知ったのが、一人はとてつもなく寂しくて弱くなってしまうこと。アレンもそうじゃなかった?』


「……少しだけ弱音を吐いて良いのなら…、本当はとても辛かった。一人がこんなにも恐いものだとは思わなかった…っ」



やっと、アレンが自分の本当の気持ちを言ってくれた。その嬉しさで私は自分の顔が綻ぶのを感じていた。



『教団を出る前は、アレンを探して一緒にメモリーとの戦い方を調べて、生きていきたいと思ってた。だけど、先の会話で私が教えてもらったことがあるの。それは、意思や感情を口に出して伝えれば、その分現在の記憶が強まって、メモリーに打ち勝つことができるというもの。



私たちが今、こうして自分の気持ちを口にしているこの瞬間も、記憶は培われてる。
そして、メモリーに少なからずダメージを与えてるはずなんだよ。



この方法は、一人じゃできないでしょう?』



私の話を聞き入っているアレンは、驚いた表情をしながらも、もう私から距離を取ろうとはしない。
このまま、彼女との最初の約束を果たすために、アレンに伝えようと思う。



『だから、これからは思ったことや感情をため込まずに口にだして伝えていこうと思う。
アレンのメモリーと私のは少し違うけど、今出来ることはこれが一番だと思うの。だから、アレンもため込まずに、全て吐きだして良いんだよ』


「〜〜っ、はい…っ」



また、アレンの目に涙が滲んできたみたいだ。



…私にはまだ伝える事がある。
あの手紙が書かれたのは数ヶ月前。アレンの気持ちが変わってなければ良いと願ったこの数ヶ月間。



結果はどうであれ、伝える事が大事。



そうだよね?過去のワタシ。



今から伝えるから。

三百六夜。→←三百四夜。



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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アストル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年8月26日 23時

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