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三百四十夜。 ページ42

『!!』



クロスは昔から私の嫌な事、憂鬱な事を察して、笑い飛ばしながら気持ちを明るくさせてくれる人だった。



このばっさりいってしまった髪型も、こう笑いながら言われればつられて笑ってしまう。



「…一応聞いておく。A、ここが終着地だと言うことに変わりはない。奴を知ろうとすればするほどお前は消えていく。ただ、お前の場合は異例なわけだが…でもな、まだ油断はできない」



クロスの口から紡がれる言葉を聞き逃しまいと、私は相づちを打つのも頷く事も忘れて、じっとその内容を聞き続ける。



「言い換えれば、お前もアレンもアクマに内蔵された魂のような存在なんだ。この侵食が進む中…もしくはメモリーが消える最中で、無駄に多くの恐怖を味わうことになるかもしれない。だが、メモリーを受け入れれば、幸せな教団の記憶と共に安らかになれる」



『それでも私は、今を生き続けます。まだこれから、沢山の幸せがあると信じてますから。それに、命を賭けてエクソシストとしてここまで生きたんです。仮にも元帥である私が世の中の人達を守るために、今立ち止まるわけにはいきません』



「…だろうな。まぁ、お前の答えは分かってたよ。本当に、ここまでよく出来た女が俺の弟子とはなぁ。その覚悟、絶対に忘れるなよ。迷った時には良い指標になってくれるはずだ」



一息ついたクロスは、腕を伸ばし人差し指をある方向へ向けて差し出した。



その指の先には、見事なお屋敷が建っている。



「カテリーナ=イヴ=キャンベルという女性を捜せ。あの屋敷は現在も残っている。目が覚めて現実世界に戻れたら、あの屋敷を目指して進むんだ」



『分かりました。ありがとうございます、クロス』



先ほどの女性の名は、似た名を聞いたことがある。きっと、あの屋敷に何かの情報があるのだろう。



『…あの、クロス。さっき、見落とした場面がどうとかって言ってましたけど、クロスは一体何者なんですか…?』



「んなこと、お前が一番知ってるだろ。お前とアレンの大好きな師匠だろうが」



『…っ、じゃあ!また、会えますよね?クロスは、そんな簡単には、死なないですもんね…っ!』



「…あぁ、そうだな。ほら、これ返す」



クロスの手から私に投げられたもの。それは先ほど、地面に叩きつけた請求書。



「俺は良い女がいるところに行くんでな。それまで、良い女で居ろよ?」



クロスの身体から、淡い光が空に昇り始めた。

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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アストル | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年8月26日 23時

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