三百十六夜。 ページ17
『遅くなっちゃった…っ!?』
「ちょっ、神田!!」
「意識は?」
『ハッキリしてます、Aです』
はぁ、と小さくため息をついて神田は私の首元に向けていた刀をおさめた。
私も私で、神田が色々と気を使っていることを知ってるから普通に答えてしまってるけど。
状況が把握できていないのはアレンだけだ。
掴みかかりそうな体勢のまま、私と神田を交互に見ている。
『アレン?大丈夫?』
「ぼ、僕は大丈夫ですけど…」
『私も大丈夫よ』
とりあえずアレンを落ち着かせようと、私はアレンの手を取ってベッドまで誘導した。
『神田なりに心配してくれてるの。もしさっきみたいな状況でノア化してたら被害は最小限だもの』
「それは、そうですけど…」
「何処に行ってやがった」
『早く目が覚めちゃったから顔を洗いにね。ほら、顔を拭くためのタオルもちゃんとあるわ』
「う…ん…。朝……?」
『おはよう、ジョニー。よく眠れた?』
ぐっと大きく伸びをしながら上体を起こしたジョニーの肌色は悪くない。あくびをして眼鏡をかければいつも通りのジョニーだ。
「おはよう。うん、ちゃんと眠れたみたい。あれ?オレが最後みたいだね」
『気にしないで。じゃあ皆起きたことだし、ここを出る準備をしなきゃね』
「そうだね、ここに長居するのは危険だ。オレもすぐに準備するよ!」
静かだった部屋が一気に騒がしくなる。ジョニーが慌てながら顔を洗い、元から荷物の少なかった神田は早々に準備を終わらせてソファに腰を下ろした。
私も額に新しい包帯を巻き、バックに荷物を詰め込んでいく。
アレンは荷物こそあるものの、中身を出していない為そのまま。準備を進める私の手をじっと見ている。
「……僕は」
『ん?』
「14番目が表出してどうしようもない時、Aの手によって動きを止めてもらいたい」
『…どうしたの?突然』
「さっきの言葉が頭に残ってしまって。そう言えば、ハッキリと伝えてなかったですよね」
周りの雑音が止み、アレンの声だけがやけに響いて聞こえる。落ち着きを取り戻したアレンの目には、アレン・ウォーカーとしての光が宿っている。
「息の根を止めてほしいとまでは言いません。今までは守られていましたけど、その時の被害をおさえるためにも、僕の身体だからといって躊躇しないでください。
これはエクソシストであるアレン・ウォーカーとしての言葉です」
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あずさ - お忙しいとは思いますが、更新楽しみにしています!! (2020年1月28日 18時) (レス) id: dc5172fd12 (このIDを非表示/違反報告)
Rico(プロフ) - こんにちは。アレンくんと夢主ちゃんの今後が楽しみです。お忙しいかもしれませんが、更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: 3a6a1a4cba (このIDを非表示/違反報告)
歩。(プロフ) - 更新お待ちしてます! お忙しいとは思いますが楽しみにしています! (2019年4月23日 4時) (レス) id: f251146aad (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 楽しみにしてます(`・ω・´)ゞ (2018年10月20日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
パオパオ - めちゃおもしろいです!!!続き楽しみにしてます!!!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 89165a1c38 (このIDを非表示/違反報告)
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