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キーフリーが申請書を出している間に私は自分の用を済ませる。呼び出しの場所へはアライラが同行してくれた。
内容は数年前の魔警団への協力報酬の受け取りと、この間完成した魔法器が安全なものであるのかという審査だ。
「魔警団と関わりがあるっていうのは本当だったんだな。勧誘もされたんだろう?」
「ん〜…勧誘は確かにされたけど断ったし、関わりも今は滅多にないよ。カルンに住んでた頃は結構呼び出されてたけど」
「どこまでも凄いな君は。その魔法器も審査員の方から感嘆の声が出ていたじゃないか。完成するまでは時間がかかっただろう?」
「これに関しては本当に頑張ったなと自分でも思う。でも気は抜けない。実はまた新しい魔法を研究してるの」
「新たに?よくやるなぁ…まぁ、そこがAの良いところか。キーフリーにも聞いていたんだが、大講堂に住もうとは思わないのか?」
「昔は何回か考えたことはあったけど、今は思わない。私、静かなところが好きみたいなのよね。大講堂は人口が多すぎる」
「…そうか。まぁ、Aの噂はよく耳にするから頻繁に会わずとも良いんだがな」
「え?噂ってどんな…」
「ん?Aがどこでどんな魔法でどんな人助けをしたか、とかどんな活躍をしたか、とかだよ。最近はあまり聞かないが」
「プライバシーのプの字もないね」
「はは、そう怒るな。Aほど魔法界に名を馳せる者ならしょうがないんじゃないか?それを聞いて自分も頑張ろうと思ってる奴がいるのも事実だしな」
随分会っていなかった分を埋め合わせるように、次から次へと思いつく話題を口にしているといつの間にかキーフリーとの待ち合わせ地点へと到着していた。
キーフリーは既に用事を済ませていたようで、その手にはココへの服が入ったカゴがある。
こちらに気付くと小さく手を振り、歩き寄って来てくれた。
「お待たせ、ごめんね遅くなっちゃって」
「大丈夫。さっき受け取ったから」
「新しい弟子への服か。この時期だし試験は受けられないが、気持ちは引き締まるだろうな」
「アライラ、今日は付き合ってくれてありがとう」
「こちらこそ。2人共、大変だとは思うが頑張ってな」
来た時と同じように階段の中央へ移動する。じゃあ、と上に上がろうとした時アライラが念を押すように言った。
「あのくらいの子どもたちは大人のいない所で何をやらかすか分からないからな。しっかり見ててやれよ」
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アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
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