78... ページ29
「馬車には私の息子が乗っているんです…!」
私の手を力いっぱい握って話す男性。その瞳は不安で揺らいでいた。
「事情はとてもよく分かりました。すぐに他の魔法使いも呼んで向かいましょう」
「ここには他にも魔法使いが…?あなたお一人ではなく?」
「えぇ。頼もしい男性魔法使いがいるんですよ」
「あ…キーフリー先生!」
騒がしさに気付いたキーフリーが私の横へと来てくれた。
事情を説明し、これから現場へ向かうことを伝えるとすぐにオルーギオにも連絡をいれてくれたようだ。
その後まもなくしてオルーギオも男性の前に集う。
「紹介が遅れました。今から現場に向かわせていただく、私、Aとキーフリー、オルーギオです。二人とも腕は確かですので、どうかご安心ください」
「それは助かる!ありがとうございます!」
「相変わらず人との関わりが丁寧だな。Aにあんな紹介されたんなら、気合い入れるしかないな、キーフリー」
「そうだね。Aが腕は一番だと思うけれど…僕達も負けてられないね」
早速私達は出発準備に取りかかる。
現場に連れて行って欲しいとの要望が強かったアガットは先にオルーギオと共に、私とキーフリー、そしてココ達は薬を持って扉窓で行くことになった。
「オルーギオは私たちに魔法器を持ってこいって言ってたけど、キーフリーも魔法器を…?」
「そうだ、君にこれを見せるのは初めてだったよね。僕も君のを見るのは初めてだけど」
「他の人の魔法器を見る機会はあんまりないから少し楽しみだな」
「僕もだよ。第一目標は人命救助だけどね」
「分かってる。任せて!」
私たちの会話を聞いている三人は訳が分からないという風に首を傾げている。
この子たちは良い反応してくれるからなぁ。目を輝かせて魔法器を見つめる姿が容易に想像できてしまう。
そうこうしていると扉窓が繋がり、奥には雨が降りしきり、複数の人々が騒然としている現場が現れた。
ココ達には私と共に手当てに回るように伝え、ついてきてもらう。
キーフリーは足早にオルーギオの元へと飛んでいく。
「お待たせしました。怪我をされている方はこちらへ、私と弟子達が手当てをいたします」
「A!君の手が必要な時は呼ぶから、その時はこっちに来てほしい!」
大きくキーフリーに頷き返して、私は怪我人の手当てを始めた。
54人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アストル(プロフ) - 通行人Mさん» 2回目のコメントありがとうございます!また来てくださって嬉しいです(´˘`*)ほんとに中々ありませんもんね...私も少しずつわかってきた原作の設定を織り交ぜていこうと考えています。オチをどのようにするか迷いますね.... (2020年2月23日 22時) (レス) id: b8413c3aa3 (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - 単行本買ってから思い出して来てみましたー。それにしてもΔ帽子の夢作品増えませんね…設定が緻密でまだまだ謎が多いから難しいんですかね…。これからもちょくちょく覗きますね。 (2020年2月23日 19時) (レス) id: cbf5c5978e (このIDを非表示/違反報告)
通行人M - うわわ…ほんと…好みです……ありがとうございます…… (2019年7月31日 20時) (レス) id: ea843ff10e (このIDを非表示/違反報告)
月夜魔法 ルナ - すごくおもそろかったです! (2018年7月15日 10時) (レス) id: 26180cce76 (このIDを非表示/違反報告)
タルト(プロフ) - 読んでいてとても楽しいです。読みやすく最高です!!これからも頑張ってください、応援しています! (2018年5月17日 19時) (レス) id: ac7dbf19f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ