Green Bird Ⅱ (ページ11)

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Aに好きな人がいた。

信じたくなかった、別れたくなかった。

でも、病気と闘うAに、それ以上の負担を掛けたくなかった。

あれから、連絡を取れずに、時だけが経った。

僕は、入社式を終え社会人として働き始めた。

慌ただしい日常の中で、Aの事だけを忘れずにいた。

長い片想いが、またはじまる。

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「え、Aと別れた、って… 」

「 …うん、」

仕事にもなれて落ち着いた時、めめに伝えた。

「 …そうなっても仕方ねえよ」

「え？」

いつもより、低くて冷たい声。

「ずっと、大好きな人に隠し事される気持ち、お前ならわかるだろ」

「 …… 」

Aが僕に隠した病気のこと。

僕がAに隠した全てのこと。

「 ……うん、」

「じゃあ、なんで、」

「ほかに、好きな人ができたって、」

めめが、黙り込んだ。

「めめ？」

「お前、それ、本当に信じたの？」

「え、」

「絶対に離れないって、言ったんじゃねえの？」

「 …… 」

「時間は、もう少ないかもしれないから、」

「それって、どういう…… 」

それ以上、めめは喋らなかった。

時間は少ないかもしれない、そう言われて、背筋が凍った。

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