11 ページ11
.
「 まあ本当は、二ヶ月もクールタイム要らないんですけど 」
「 どういうこと? 」
突然寝転びながらAはそう言う。
「 私の場合、およそ2週間につき1人助けられるんです 」
何を言っているのかまるでわからなかった。
「 …つまり、本当は2週間だけで照を助けれるってこと? 」
「 まあ、本来ならそうだったんですけど、先週、一日で6人助けちゃったからパンクしてるんです 」
「 ってことは、本当は1人しか助けられないのに6人も助けちゃったから、二ヶ月後まで照を助けられないってわけ? 」
「 話が早いですね、そういうこと。…だってあんな事故で1人だけ助けるとか可哀想じゃないですか 」
あんな事故、に心当たりはないけど、6人も助けたってことはかなり大規模だったんだろう。
「 私のことは置いといて、深澤さんについて教えてくださいよ 」
俺の事?
「 ぶっちゃけ、アイドルってどうですか? 」
楽しい?と仰向けに寝転んでそう言うA。
「 楽しい、けどたまに辛い 」
なんでAにこんなことを打ち明けているのか分からなかった。
でも、Aになら話せてしまった。
たった2回しか会ってないこんな子に俺の悩みを打ち明けた。
「 最年長だからこそしっかりしなきゃって思うし、いつでも頼れる存在にはならないといけない 」
気がついたら、喋り出していた。
自分の手に力が入るのがわかった。
それだけ、本心を喋っていたということ。
「 __まあ楽しいんだけどさ 」
なんか湿っぽく話してしまったことに今更気がついて、空を見上げた。
何も言ってこないAの方を見ると
「 … 」
「 おい!寝てる! 」
Aから聞いてきたくせにこいつ寝てやがる。
.
「 それじゃ、また来週 」
明日も仕事ということで俺は一足先に屋上を出ることにした。
ドアノブに手をかけた時
「 責任感なんて持たなくても深澤さんはそのままで十分だとおもいますけどね 」
後ろから聞こえたのはその言葉。
振り向くと、Aは洗濯物を持って「それじゃ」とまたハシゴから帰っていった。
「 …起きてたのかよ 」
Aの不器用な優しさに人間味を感じた。
何者なのか全く分からないけど、Aが気になってしまう自分がいた。
.
333人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
a.(プロフ) - ちなこさん» 読んでいただきありがとうございました、感動したと言っていただけて本当に嬉しいです、こちらこそありがとうございます^^* (2020年7月16日 14時) (レス) id: b266b51c87 (このIDを非表示/違反報告)
a.(プロフ) - ソニックマニアさん» 読んでいただきありがとうございました、初めてファンタジーのお話を書いたので不安だったのですがそう言っていただけて本当に嬉しいです^^ (2020年7月16日 14時) (レス) id: b266b51c87 (このIDを非表示/違反報告)
a.(プロフ) - クレーンゲームに住む化け物さん» お読みいただきありがとうございました^^ (2020年7月16日 14時) (レス) id: b266b51c87 (このIDを非表示/違反報告)
ちなこ(プロフ) - すっごくすごく素敵で感動しました。素敵な時間を過ごせましたありがとうございました (2020年7月14日 1時) (レス) id: 3adce2c6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ソニックマニア(プロフ) - はじめまして。ファンタジーは読み進まないことが多いのですが、とても読みやすく最後まで一気に楽しませていただきました!他の作品ものぞかせていただきますね(^^)ありがとうございました。 (2020年7月13日 7時) (レス) id: 8e1cd423bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:a. | 作成日時:2020年7月12日 18時