賑やかな傍の端役は【テトラ】 ページ20
はぁ。
私は、窓の外に視線を送ったまま特大の溜息をついた。
この溜息で今日何回目だろうか?とにかく私は溜息をつきすぎだ。
幸せが逃げるなんて薄っぺらなこと言ってたやつがいたな、そもそも私には最初から幸せなんてないんだけどね!
薄っぺらなことを言った奴に向けて思いっきり心の中であっかんべー、と舌を出す。
しかし、サル以下の私には、そいつの名前すら判っていないのだった。
そこもまた、笑えてくるようだった。
目線の先の校庭では転生部と生徒会(多分)、全校生徒が集まってきていた。
ああ、判った。イースターじゃん。
今年も、イースターが来たか。といっても、今年で二年目。
イエス・キリストの復活を祝うんか。おめでたいようで、かったるいようで、気持ちはかき混ぜられたゴミ箱のようにぐちゃぐちゃだ。
私ってやっぱ、腐ってんかな。腐ってるから、腐ったものが判んないのか。
そういえば、思い当たる節があった。
それは、入学式に咲き乱れていた桜も一切綺麗とは思わなかったということだ。
一人で頭を抱えていると、これまた心地よいとは到底思えない春風が拡声器の声を運んできた。
『百個、どこにあるかは………できない。ロッカーの中からモンスターの……まで、くま……探せ。見つけたら、この朝礼台の前にある段ボール……入れること』
ところどころ聞こえないところがあったのだが、肝心なところは一応聞こえた。
声の主は先生だろう。多分、支倉先生。
肝心なところが判っても、残念ながら私にはやる気がない。
だから…ここで、寝ておくこととしよう。
そう思い、目蓋を閉じて机に突っ伏しかけた時、ある考えが頭をよぎった。
―ちょっと待って、このクラスにも誰か来るんじゃない?
だったらまずいことになる。私は人と話すのが大の苦手で、その上かなり面倒くさい。
そこで、見知らぬ一年生に『タマゴ見ませんでした?』なんて、聞かれたら…。
勿論私は教えることが出来ない。それでばっくれるのも気が引ける。
それに、私にはやる気がない。後輩にばれて『先輩やる気な〜い』なんて、言われてしまったら…。
頭の中が真っ白になった。私ははっとして思考を取り戻すと、本を机の中から引っ張り出した。
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ユリイ(プロフ) - パスワードは前回同様です! (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新しました。お話がいっぱいになりましたので、続編へ移行します。 (2020年5月12日 16時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
ユリイ(プロフ) - 更新します! (2020年5月12日 15時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新しました (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
露留(プロフ) - 更新します (2020年5月9日 20時) (レス) id: 412cf2cbe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スカイハイ転生学園一同 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/
作成日時:2020年4月28日 20時