スキルと一二三の気持ち ページ5
______これが、俺の過去とヒプノシスマイクの出会いだよ。
ふぅと溜め息を小さく吐いて、彼は顔を上げた。
その目は少しキラキラとしている。勿論、期待とか希望とかの理由からではない。むしろその逆だ。
悲しみと憎しみ。
俺達に向けられているわけではないのはわかっているが、どことなく心が締め付けられる。
「1つ確認をして良いかな」
口を開いたのは先生だった。
「何」
「君の噂の“力”は、その時同時に手に入れたんだね?」
「そうだよ。相手を撃退するタイプじゃなくて回復系のやつ…“復活”って言った方が賢明かも」
「それって、『死んだ人を1人生き返らせることが出来る』ってやつ?」
「…どこから漏れたのかわからないけど」
彼は薄く笑った。
______あぁ。青くて綺麗な目だ。不器用そうに上がる口角。
そう、日頃何かと呟いて、俺に宥められていた、あの幼馴染にそっくりで。
「…やっぱり、駄目かな」
自然と声が零れていた。
思ったよりも大きなそれは、すぐに両者の耳にも届いたようで、「何が?」と聞き返されてしまった。
「あっ、いや…」
「気になるから」
「あぁ…その、独歩を生き返らせること、検討してくれないかなって、なんて…」
「一二三君」
わかってる、自分勝手だって。
だけど、やっぱり諦めきれねえや…。
だって、こいつを見ると思い出すし聞こえてくる。
俺の名前を面倒臭そうに呼ぶ幼馴染の姿と声が。
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作者名:蠍座 | 作成日時:2019年1月4日 19時