… ページ26
「で、何が聞きたいんだよ」
歌ノ屋は「うーん」と軽く唸ったあと、「獄寺くんとか山本くんは、一応ボンゴレの構成員ってことになるのかな」と獄寺の顔を伺う。
「……どうだろうな。10代目は今の時点ではあくまで次期ボス
その下に付く俺たちもボンゴレ構成員候補としか言えないんじゃねぇか。
9代目のファミリーには入った覚えはねぇしな」
ブラッド・オブ・ボンゴレである綱吉はまだしも、獄寺達はファミリーに加入するための正式な手続きを踏んだわけではない。
マフィア界で1番力を持つと言っても過言では無いボンゴレだ、「入ります」と言っただけで入れる程甘くはない。
そもそも、綱吉はボンゴレを継ぐ意志を固めていない。
綱吉が継承権を放棄するのであれば、獄寺がボンゴレに加入する理由もなくなる。
「……意外だな」
「あ？」
「それってツナがボンゴレを継がない可能性のことも考えてるって事だよね。
獄寺くんは、ツナがボスになる事を望んでると思ってたから」
「ツナの事頑なに10代目って呼ぶし」と歌ノ屋が続ける。
「……継いで欲しいか欲しくないかと言われればそりゃあ前者だ。
あのお方以外に10代目が務まるとは思えねぇからな。
だが＿＿」
継ぐか否かの決定権は綱吉本人にある。
それに口を出すつもりは更々ない。
「俺はボンゴレに仕えてるんじゃねぇ。10代目自身に仕えてんだ。
ボスを継ごうが継がまいが俺はあの人に着いていくだけだ」
「……ツナのこと、信頼してるんだね」
「当たり前だ」と返す獄寺に、歌ノ屋は目尻をフッと緩める。
「獄寺くんって、ツナに対して嫉妬とかも何も無いよね。あの試合見たら、ちょっとは妬みそうなものなのに」
「＿＿いや。
嫉妬するには、遠すぎる」
歌ノ屋が大きな目を瞬いた。
ほとんど表情を崩さない彼女の瞳に、わずかに驚きの色が浮かんだのが見えた。
数秒の間が空く。
沢田綱吉。
幼い頃からマフィアになるための全てを叩き込まれた少年。
「……ツナって、なんであんなに普通なんだろうね」
今度は獄寺が驚く番だった。
「あんなに強いのに、なんで普通の中学生でいられるんだろう」
沢田綱吉の本質はその非凡な平凡さだ。
それを歌ノ屋が見抜いているとは思わなかった。
「私もツナはすごいと思う」
彼女の表情は読めないが、その裏にあるのは恐らく羨望だった。
歌ノ屋Aは非凡だ。
どこまで行っても、平凡にはなれないだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 144人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水団子(プロフ) - 氷輝さん» いい文才…いい文才…うわぁぁぁぁ(錯乱)嬉しいお言葉ありがとうございます。出来るだけ更新頑張って行きます。コメントありがとうございました (2015年5月2日 17時) (
レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
氷輝(プロフ) - とっても面白いです！！凄くいい文才をお持ちですね！うらやましいです！無理せずに更新を頑張って下さい！待って居ます！ (2015年5月2日 17時) (レス) id: 7cb1d6c2e0 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - うさうさ(U*・×・*U)ﾛｯﾌﾟｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧさん» え。え。え。ちょ、文才、文才落ちてませんかァァァうさうささんに差し上げられるような文才落ちてませんかァァァ((すみません、私の文才は行方不明でして… ちょっとホント…どこ行ったんだろう(( 温かいコメントありがとうございます (2015年4月26日 20時) (レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
うさうさ(U*・×・*U)ﾛｯﾌﾟｲﾔｧｧｧｧｧｧｧｧ - 文才をください…うらやまですよっ(ｷﾞﾘｨｨｨｨｨｨｨｨｬｧｧ← (2015年4月26日 20時) (レス) id: 39ae0504b8 (このIDを非表示/違反報告)
蝉時雨(プロフ) - いえいえ (2014年5月13日 12時) (レス) id: d5daaf2600 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水団子 | 作成日時：2014年5月8日 18時
