七 ページ27
花と京子と学校帰りに寄った喫茶店のカウンターに、その小さなボルサリーノを被った赤ん坊はいた。
2人分の注文を承ったはいいけれど、まさかこんな所で遭遇するなんて、Aは考えてもいなかった。
ここだって、元を正せばコーヒーショップだ。
こんな赤ん坊が何の用だというのだろう。
……なんて、自分で惚けても無駄だった。
いつか噂に聞いた、ツナのバックにいる大きな存在、というのが、彼のことなのだろう。
ツナ以上に、謎を多く持っている。
ただ。
八雲と初穂は、絶対に何かを知っていた。
そんな思考を打ち消し、カウンターに少し近づいてみると、店員の困った表情が窺えた。
「サイフ忘れたからツケでエスプレッソ」
「ぼく……パパかママは？迷子なら交番つれてってあげよっか？」
何とも不可思議な会話を聞いて、Aは一瞬、リボーンの両親について想像してみたが、このままいくと宇宙の真理にまで到達しそうなので止めておいた。
「そんなことをしてみろ。交番は血の海だぞ」
カチャリとリボーンの手の中で音を立てたのは、紛れもなく本物の銃だった。
彼のような存在が、こうも簡単にそれをさらけ出して良いものなのか。
＿＿マフィアってもっとこう……隠密な感じじゃないっけ。
だが、どうせ、Aたちがここに来て、今Aが真後ろにいるということを分かって、いや、あらかじめ知っていて、その上でのこの行動なのだろう。
Aは少し笑って、店長を呼ぶだの話している2人の間に割って入り、「私が払います」と声をかけた。
ニヤリ、と笑った赤ん坊に対して、Aも微笑みで返す。
この時やっと、リボーンを前にしても、この間のような悪寒や動悸が襲ってこないことに気づいた。
きっと初穂の術式だろう。
Aは、まだ自分は世話のかかる娘なのだろうなぁと複雑な気持ちになりつつ、三人分の注文と、赤ん坊のためにエスプレッソのお代を払って、リボーンに向き直った。
「助かったぞ、A。だが女に金借りたままじゃ格好がつかねぇ、すぐ返すからツナん家寄れ」
そこで、体が固まる。
……ツナの家？
入れる？
え？
いきなりラスボス？
何となくカタコトになっている思考回路。
それを秒速で処理して、Aは固まっていた首を動かした。
「花と京子もいるけど平気？」
「大歓迎だ」
ボルサリーノを被った赤ん坊は、まだ笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水団子(プロフ) - ミリアさん» 加えてリクエストありがとうございます！今のところリボーンの新作を作る予定はありませんが、もし作ることになれば前向きに検討させて頂きます。実はワートリは下書き中のものがあるので、公開したら是非覗きに来て下さい^^コメントありがとうございました！！ (2019年3月25日 2時) (
レス) id: 1b84b6b99e (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - ミリアさん» 一年越しの返信失礼いたします。遅くなってしまい本当に申し訳ありません、、、気に入っていただけて光栄です！！更新不定期ですが、気長に付き合って頂けると嬉しいです。 (2019年3月25日 2時) (レス) id: 1b84b6b99e (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で続きが楽しみですもし今後他の作品を作る予定があったらリボーンのツナ♀逆行か雲雀の姉か妹か娘がヒロアカかワールドトリガーかアニメKとコラボかトリップか転生した作品が読んで見たいです説明が下手ならすみませんこれからも更新頑張てください (2018年4月1日 10時) (レス) id: 673ec4ec31 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 三日月さん» キター！！！意外とスレツナ好き多くて嬉しいです。あの性格でスレてたら絶対モテるんだろうなぁ、と思います。まあ何にしたってツナ可愛いですよね(( コメントありがとうございました (2015年7月17日 22時) (レス) id: 851c864111 (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - スレツナキター！！！ (2015年7月17日 22時) (レス) id: 835df9eb43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水団子 | 作成日時：2014年4月9日 23時
