【彼方】と【此方】

第八話：「とある場所」 ページ10

祭り会場をずっとずっと奥に進んでいった先には、寂れた階段。
そこを更に上がっていけば、大きな鳥居が見えてくる。


？「……」


そんな神社と思わしき場所に、一人の青年が立っていた。
蜂蜜色の瞳は、鳥居の先を見つめており、まるで誰かを待っているような仕草をしていた。


秋田「いち兄〜！」


そこに、明るい少年の声が響いた。
“いち兄” と呼ばれた青年はゆっくりと声のした方へと向き直り、そして優しい笑顔を浮かべた。


？「お帰り。お祭りは楽しかったかい？」

乱「すっごく楽しかった〜！」

五虎退「と、とても楽しかったです…！」

秋田「凄く優しい人にも会えたんですよ！」

？「どんな人だったのかな。」


すると、少年達は嬉々として語り始めた。


包丁「A姉は凄く優しいんだぞ！
俺にお菓子買ってくれたんだ！」

秋田「かき氷を落とした時も、A姉が自分のを僕にくれたんです！」

乱「あとね、僕達の事いち兄みたいに撫でてくれたんだよ〜！」

堀川「大人気ですね。」


後ろから、堀川と兼定が歩いてきた。


？「堀川殿、和泉守殿。
弟達の面倒を見ていただいて、ありがとうございます。」

堀川「いえいえ！お陰でAさんにも出会えましたから！」

？「おや、堀川殿も彼女の事を？」

堀川「はい！彼女、凄く暖かくて、とっても可愛いんですよ！
それはもう、人間のところに置いておくには勿体ないくらい！」


堀川は、目を妖しく光らせて笑った。

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