【彼方】と【此方】 (ページ13)

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第十一話：「気楽な友人」ページ13

氷奈「来たよ～！」

約束の時間になり、氷奈がインターホンを鳴らしてそう声をかけてくる。
私もすぐに応答をして、準備を済ませて玄関のドアを開けた。

『お待たせ。』

氷奈「んーん、全然待ってないから平気！」

『それは良かった。
……あ、ちょっと待って。』

私はドアを閉めて、鍵を掛ける。
すると、それを見た氷奈が思案の表情を浮かべながら聞いてきた。

氷奈「……今日もいないの？」

『ん、まぁいつも通りだよ。』

氷奈「……は～ぁ、本当君の母親は何をやってるんだろうねぇ。
こんな童顔がその辺フラついてたら、変な男が寄ってくるでしょーに！」

『童顔って……私そんなに幼く見える？』

氷奈「褒め言葉を素直に受け取らないなんて！
そんな子に育てた覚えはありませんよ！」

『育てられた覚えがありません。
というか、私そんな簡単に変な男に絡まれたりなんかしないよ。』

それでも、氷奈は「それがそうもいかないんだよな～」と歩きながら言う。

氷奈「まぁでも、Aに変な男が寄ってきたら私がそいつぶっ飛ばすけどね。」

『セコムかな？』

氷奈「私はロリとショタとAの味方だからね！」

ドヤ顔付きでそう言う氷奈に苦笑いを溢す。

氷奈「えっ、そこ普通笑う！？
ロリとショタよ！？天使だよ！？
何故理解してくれないんだワトソン君！」

『氷奈、氷奈、声が大きいよ。』

道行く人が私達をチラチラと見ている。
それでも氷奈はヒートアップしたまま収まりそうにないので、私は興奮したままの氷奈を引っ張ってお祭り会場へ向かった。

氷奈「おおおおっ！やっぱ会場は人でごった返してるねぇ～！」

『まぁ、わりと大きなお祭りだしね。』

氷奈「それじゃ早速、会場の食べ物一通り制覇していこうじゃないか！」

『私は昨日食べたのもあるし、食べたくなったら買おうかな。』

そこから、私は氷奈と共に会場に足を踏み入れた。