5-1 星空 gr.zm視点 ページ5
gr視点
｢うっわぁ…っ!!綺麗…っ!!｣
カランカラン音を立ててバルコニーの端まで駆け寄った彼女。
その目前に広がるのは満天の星空だ。
町から離れたこの城からは光が少なく、よく見える。
まだ春になりきっていない夜の気温は少し肌寒く感じるが、その分星が輝いていた。
横に並んでAの顔を見れば、嬉しそうにニコニコと笑っている。
幼い頃と変わらない、純粋な淀みのない笑顔だった。
それに釣られて、俺の顔も緩くなっていく。
｢…ふ、そんなに嬉しいのか？｣
｢うんっ！…すごいすごい、こんなに綺麗に見えるんだ…っ!!｣
キャッキャと喜ぶ彼女は鼻先を少し赤らめている。
それを見ると、自分の着ていた軍服のコートを脱ぎ、肩へとかける。
｢わっ、ぐ、グルちゃん？｣
｢着てろ。寒いんやろ？｣
｢でも、それじゃあグルちゃんが…。｣
｢俺はええんや。…女性は、大切にせな。｣
ニッと俺らしくない笑顔を浮かべれば彼女もニヒ、と笑う。
ありがとう、とコートの裾を掴んだ彼女の体は小さく、ブカブカの俺の服に簡単に包み込まれてしまっていた。
先程、俺色のドレスを着せられなかったのは残念だったが、まぁこれもこれで有りだなぁ。
俺の服に包み込まれた彼女はまだ目を輝かせている。
｢ふふ、綺麗…。初めてだよ、こんなの。｣
｢そうか…。良かったな。｣
｢うん！…へへ、ありがとうね、グルちゃん!!｣
眩しいまで輝いた彼女の顔。
…昔から、その笑顔が好きだったんだ。
…覚悟を決めろ、俺。
｢…A。｣
｢ん？何？｣
静かに、手を取った。
zm視点
…ヤバい、先を越された。
バルコニーへと開かれたドアにひっそりと隠れて息を殺す。
チラリと中を覗き込めば、Aの手をとるグルッペンの姿があった。
ギリギリ耳を澄ませば聞こえる会話に神経を尖らせる。
｢…A、俺の話を、聞いてくれるか？｣
｢…？うん。聞くよ？｣
まだグルッペンが言おうとしていることに気づいていない彼女はへらりと優しく笑っている。
それと反対にグルッペンはいつもよりも真剣な面持ちをしていた。
僕の額に一筋の汗が伝って、体が力む。
｢…俺、Aと許嫁になる前から考えてたことがあるんや。｣
｢…うん。｣
｢…将来、Aみたいな人と結婚したいって思っとったん。｣
｢…え？｣
Aの抜けた声が聞こえる。
グルッペンが発したその発言によって、今自分が置かれている状況に気づき始めて居るようだった。
…グルッペン、言うのか。お前。
手を強く握った。
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Riitter(プロフ) - 夢見りあむさん» 本名！？うおお、すごい偶然もあったものですね……笑 (2019年11月15日 21時) (
レス) id: 795b5e2765 (このIDを非表示/違反報告)
夢見りあむ - 作者さんの名前が私の本名で一瞬焦りましたw (2019年11月9日 23時) (レス) id: a454904879 (このIDを非表示/違反報告)
Riitter(プロフ) - 紅葉秋さん» 生きがいだなんて…嬉しいです…!!お付き合いありがとうございました!! (2018年10月13日 11時) (レス) id: 8401485740 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉秋(プロフ) - この小説を読むことが生きがいでした...完結お疲れ様でした！！ (2018年10月13日 6時) (レス) id: 952224511f (このIDを非表示/違反報告)
Riitter(プロフ) - みかんさん» あっあっ嬉しいです…!!ここまでお付き合いありがとうございました！ (2018年10月12日 20時) (レス) id: 8401485740 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Riitter | 作成日時：2018年10月1日 19時
