36.プラマイゼロ ページ36
二宮さんが連れて来てくれたのは
チェーン店の焼き鳥屋さん。
「たまには、アリでしょ?」
「ですね。」
彼らしいあまりに
二人で顔を見合わせて笑っちゃう。
二宮さんの、こういう所がスキ。
飾らなくていい空気を作ってくれるような
ありのままでいていいんだ、って
そう思わせてくれる空気を作ってくれる
二宮さんの優しさが好き。
二宮さんの前では
いくら可愛く見てもらいたいなって着飾っても
見抜かれちゃう気がして
無理しなくていいんだよって
悟られてる気がして。
「なんか、こうやって改めて二人でってなると緊張すんね。」
「してるようには見えないですけど。」
「アハッ、ちゃんとしてるわ!ちゃんと、っつーのもおかしいな。」
「んふふ…」
生ビールをグビグビ飲む二宮さんの
喉仏に自然と目がいってしまう。
かっこいいなぁ…
「・・好きなの?喉仏。」
って思われてることも、お見通しだったみたい。
一気に林檎色に頰が染まっていくのが
鏡で見なくても体温の上昇に伴って伝わる。
好きなのって聞かれて好きなんです、って
素直に答えちゃうのも変だし
かと言って、キライ、なんてウソ
分かり易過ぎて笑われちゃうだろうし
どう答えようにも結局恥ずかしくて
黙り込んでしまっていたら
「顔に出てる。分かり易過ぎるくらいにね。」
二宮さんが優しく微笑んだ。
その笑顔に、また胸が疼いて
恥ずかしさと好きな気持ちと
いろんな想いがごちゃまぜで、苦しい。
「素直じゃない分、顔に出ちゃってる。いいんじゃない?プラマイゼロで。」
面白可笑しそうな目線を送ってくる二宮さんに
いつから
憎しみの気持ちじゃなく、
好意を持つようになったんだろう。
初めは、
腹が立つなぁ、仲良くなりたくないなぁって
マイナスな想いしか無かったのに。
「二宮さんは何考えてるか全然解んなくて困ってます。」
「困ってんの?笑」
「はい。」
「じゃあ、もっと困らせていい?」
そう言う二宮さんの瞳が
何処か、艶っぽくて色気を感じて
ドキドキする。
引き込まれそうになる。
「・・ンハッ、なんつー顔してんの。嘘だよ。」
自分がどんな顔していたのかは
分からないけど
このままその鳶色の瞳の奥に、引き込まれてもいいくらいに
私は二宮さんに、夢中だった。
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作者名:べに | 作成日時:2017年2月24日 8時