１８.惚れたが負け ページ18
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ピピピ…と機会音が室内に響き渡って
その音で目が覚めた。
目を開くと、栗色の目がジッと私を捉えていて
「おはよう。」
「・・はい。」
一言だけ交わして二宮さんは
ベッドから抜けるとタンスからバスタオルを取り出して「ほい。」って私に向かって投げて来た。
急な行動にキョトンとする私に
「シャワー、使うでしょ？」
当たり前のようなその慣れたカンジに
こんな風に他の女の人にも、ってやっぱり想像しちゃって勝手に落ち込んでしまう。
「え、でも着替えないし…」
「俺９時３０分までに出勤だから俺の出勤ついでに家まで送ってあげる。此処でシャワー済ました方が効率いいでしょ？家帰ってドタバタするより。」
ただし、２０分以内で上がれよ？
そう言って二宮さんは私を無理やり布団から引っ張り出すと、お風呂場まで連れて行かれた。
にしても、殺風景な部屋。
洗面所も綺麗にされてるし、
本当に、無駄なものは何一つないって感じ。
「左からシャンプートリートメントボディーソープね。後は適当に使って。」
じゃあね、と二宮さんはそこから出て行った。
バタン、とドアが閉まって一人になって
やっとこの状況を、落ち着いて理解した。
本当に、なにやってるんだろう。
いい歳した大人が、ベロベロに酔っ払って
そんなに仲良くもない、しかも男の人に介抱してもらうなんて。
しかも、起きたら同じベッド。
こんな漫画みたいなことがあっても
二宮さんとは漫画みたいな恋仲になれませーん。
なんてオチは分かりきっているのに。
とことん、バカだなぁ。
あぁ。そうだった、
２０分であがってこいって命令されてるんだった。
彼の言葉を思い出して
いつもの１.5倍速でシャワーを浴びた。
「シャワーありがとうございました。」
シャワーを浴び終えてリビングに戻ると
二宮さんはメロンパンを食べながらニュースを見ていた。
へぇ、ちゃんとニュース見るんだ…
少しだけ感心した。
ドライヤーをお借りして髪の毛を乾かしていたら
「化粧って時間かかるもんなんでしょ？」
なんて聞いてくるから
もしや…俺が乾かしてやるから化粧しろ的な？そういうやつ？
って淡い期待を抱いたのも一瞬。
「いつもより一生懸命髪の毛乾かせよ。タイムリミットはすぐだかんな？」
って…
腹の立つこと言われてるはずなのに
一生懸命髪の毛乾かすって！
その発言が可愛い！！
って思っちゃって、全く、惚れた弱み…
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作者名：べに | 作成日時：2017年2月24日 8時
