哀感ブーケ

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智「あー、スッキリした」





朝、6:04


さっきまでカラオケボックスが暗かったせいか


いつもより日差しが眩しい。


眠いというより清々しい朝だった。






「カラオケ代まで有難うございます」


智「んー、俺が誘ったしね」


「まぁ、セクハラ費として当然ですか」


智「んだよそれ(笑)初めて聞いたわ」






大野さんは伸びをして眠そうに欠伸をした。


あの薄い唇に私は触れてしまったのか。


5時間ほど前のことを思い出して


自分で自分を責めて恥をかかす。


どうして大野さんはキスなんてしてきたのかな、


ほんとにおあいこ？仕返しでやっただけ？


大野さんは誰とでも軽はずみにキスできるの？


挨拶だって言っても頰くらいよ。


アホなのか知ってるのか…、


まぁ聞かないけど。終わった話だしさ。






智「帰るか」






大野さんが私に言う。







「そうですね」







私は返事する。





本当は帰りたくない。


部屋にはカズとの写真だらけ、


今帰ったら確実に泣く。


カラオケ行っといて何なのって話だけど、


やっぱりカズが好きだよ。






「では、また月よ…」






私は鞄を落とす。


どうして？なんで？


これはなんで？


何を考えてるの。








大野さんは私にキスをした。


そして、









智「おれんち来い」








私の手を引く。


貴方は私の心でも読めるの？


ねぇどうしてキスなんてするの？





教えてよ、大野さん。

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