二十八話 ページ28
「(わからない…調べても何も出てこない…………手練れの情報屋でも知らないとは……)」
顔を顰め、チャットで送られてきた文章を見てため息を吐く。
「(…止めよう、これ以上は時間の無駄だ。……それに、調べた所で面倒が起こる予感しかしない。………………乱数に問い詰めても、躱されたし…)……はぁ…帝統、寝るなら小生がわざわざ引いてやった布団があるので其処で寝てください。……帝統、聞いてますか。帝統?」
また深くため息を吐くと、くるりと椅子を回転させて背後で腹を出して寝ている有栖川帝統にそう言った。
帝統は眠りが深いのか起きる気配がない。この部屋だけはフローリングなのでこのまま寝かせていれば体を痛めてしまうだろう。
「(朝から騒がれるのも嫌だしなぁ……仕方ない…)……帝統、起きてください、起きたらあなたの借金を代わりに払ってあげましょう。」
またもやため息を吐くと、寝ている帝統の耳元でそう囁く。かなりの額の借金を抱えている帝統にとっては夢のような話だろう。
「本当か!?」
「勿論嘘です。」
「っだァァァ!!またか!!!」
その話に見事に食いついた帝統は飛び起きる。幻太郎は頭がぶつかりそうになるがひょいと避け、浴衣の袖で口元を隠しながらさらりと言った。
嘘だとわかりながら食いついた帝統はそれでも悔しかったのかそう地団駄を踏む。
「そんなことより帝統
「そんなことってなんだ大事な事だぞ!!」
寝るなら此処ではなく彼方で寝てください。小生が教えたでしょう。布団は引いておきましたから其方で寝てください。」
「あっち?そっち…?え、ど、どっち??」
寝起きの頭には指示語が多すぎたのか帝統は首を傾げてそう言った。
「……はぁ……この部屋を出て右です。……小生はやる事があるので、くれぐれも、邪魔をしないでください。」
「おう!わかった!ありがとうな、幻太郎!」
「はいはい、さっさと行ってください。」
めんどくさそうにそうあしらうと、帝統は部屋を出て行き隣の部屋に行った。
「(…嗚呼、そういえば明々後日が締切……後は最後の部分だけ…………決まらないな…)」
チャットと調べもののタブを閉じるとズラリと文字が羅列された幻太郎の小説が打ち込まれたタブを開く。
いままで何度も読み返して最後の部分をどうしようかと悩んでいたが、まだ決まっていないようだ。
「(……さて、どうしようか……はぐらかすのはこの話には合わない…)」
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伏見桜(プロフ) - ちょっと待ってもう50話??????????ポッセ描いてたのにこれに気付いてタッチペン投げてしまった……。これも一重に皆様が読んでいただいておりますお陰です。誠にありがとうございます。 (2020年5月6日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 水月さん» ありがとうございます!!お久しぶりでございます、まだまだ終わりは見えませんがいつでもフルスロットルで頑張らせていただきます! (2020年5月1日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
水月 - お久しぶりです!続編も見させて頂いてます!これからも更新頑張ってください! (2020年4月30日 4時) (レス) id: 13085b09f2 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 時神さん» ありがとうございます!!常に散々な目に遭う主人公ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
時神(プロフ) - たまたま見かけてシリーズ一気読みしました……すごい好きです更新頑張ってください!!!!! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伏見桜 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月16日 1時