十五話、常識人 ページ15
「あっ、ごめんね、痛かったね、ごめんね……!」
『だ、だっ、大丈夫、で、す……!!』
「……はぁ…」
この場において常識人枠になる一二三は頭を抱えて深くため息を吐いた。こんな時独歩が居れば、と考えていたが十分前のメールにすら気付いていない。まだ呑気に寝ているのだろう。
「俺っちが今日は夕方に帰れるから、一緒に帰るか?独歩とセンセーはまだ寝てるっぽいし。」
『う、うん…!いっしょ……』
「ん。……釈宮さん、今日は働かせないでくださいね。」
「うっ……ほら、店にいてくれるだけでいいから…心配だったら一二三の横でも……」
釈宮は図星を突かれたのか、そう言った。空気清浄機ではないのだが。
「それじゃ駄目では……」
「……まぁ、それなら。」
「良いんだ……」
呂梅は突っ込みを入れるが一二三が予想以上に快く了承したことに更に驚き突っ込みを入れる。
そして、一二三…このホストクラブNo.1ホストの真横に座るだけという他の女性なら代わりたいレベルの位置についてしまう神羅であった。
「神羅ー、仕事の時のアレ、出来るか?」
『ッ…………わ、かっ、た……がん、ばる……』
「うん、何かあったら俺が守ってやるから。」
『ごめん……ありがとう、一二三…』
最初の客が来た辺りで一二三は神羅に装飾品を少しだけ付けながら話をする。間も無く行かねばならない様だ。
「先輩!!ご指名です!」
「今行くよ!……さ、神羅くん、行こうか。」
『う、ん…………かしこまりました。』
巴琉はそう言って一二三を呼びに来る。一二三はジャケットを着て、神羅は目を閉じて、切り替えると昼間なのに煌めく店の中へ進んで行った。
カラカラ、と煌びやかなホストクラブには似合わぬ車椅子の音を立てながら指名の入ったはその客の元へ行く。
「本日もご指名ありがとう、子猫ちゃん。」
「!一二三!…あれ、その子は?」
一二三はいつものように常連の女性に笑顔でそう話しかける。違うのはその手は車椅子を押しているという点だろうか。
「今日入った新入りの子でね。僕の隣が一つ埋まってしまうのだけれど……いいかな?」
「……うん、大丈夫よ!かわいいし!」
女性は快く承諾してくれた。
「おや、良かったね、神羅くん。」
『お褒めいただき恐悦至極にございます、ありがとうございます。お客s……
「お客様じゃなくて、他の言い方があるだろう?」
……………………お嬢様。』
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伏見桜(プロフ) - ちょっと待ってもう50話??????????ポッセ描いてたのにこれに気付いてタッチペン投げてしまった……。これも一重に皆様が読んでいただいておりますお陰です。誠にありがとうございます。 (2020年5月6日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 水月さん» ありがとうございます!!お久しぶりでございます、まだまだ終わりは見えませんがいつでもフルスロットルで頑張らせていただきます! (2020年5月1日 2時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
水月 - お久しぶりです!続編も見させて頂いてます!これからも更新頑張ってください! (2020年4月30日 4時) (レス) id: 13085b09f2 (このIDを非表示/違反報告)
伏見桜(プロフ) - 時神さん» ありがとうございます!!常に散々な目に遭う主人公ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 3120be2f53 (このIDを非表示/違反報告)
時神(プロフ) - たまたま見かけてシリーズ一気読みしました……すごい好きです更新頑張ってください!!!!! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 6a39446066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伏見桜 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年4月16日 1時