九十九話、忙しい ページ49
独歩に背負われ、左馬刻に別れを告げると神羅は寂雷の車に乗り込む。
「……はぁ…本当に無事でよかった……」
今日は珍しく一二三が助手席に座っていた。…一二三は寝足りないのか車が走り出すと直ぐに眠ってしまったが。
独歩は神羅の横に座って深くため息を吐いてそういった。
三人共普段の服ではなく殆ど寝巻き状態で来ていたようだ。それは左馬刻もさっさと帰れ、とも言いたくなる。
『…ねぇ、独歩。さっきは言えなかったけど、その首のって……』
独歩が隣に座った事により、首に巻かれている包帯に目が行った神羅はそう尋ねた。
「!?か、神羅が気にするような事じゃないぞ!」
『…でも、それ…』
「ほ、ほら俺なんか首絞める癖あるだろ!?」
『ないでしょ…それに自分で言ってどうするの……』
わたわたと
「あっ…」
「独歩くんは神羅くんに嘘が吐けないようですね。」
『…そうみたいですね。……先生、僕が手を出しましたか…』
「"君"は手を出していないよ。」
寂雷はそう神羅に言い聞かせるように安全運転をしながら、ミラー越しに微笑んで言った。
『ッ……そう、ですか……ごめん、独歩。僕がいつまでも未熟だから……』
その言葉を聞いた神羅は少し気持ちが楽にはなったようだ。それでもやはり罪悪感が強いのかポロポロと涙を溢しながら謝った。
「か、神羅が謝ることじゃない、そもそも悪いのは中王区の奴らだろうし……」
『……違う、違う、んだ……僕が、何も考えずに、差出人不明のメールを開いちゃった、から……!僕が、いけないんだ、僕が…』
「だ、だとしてもだ、俺は仕事中の神羅を邪魔しちゃったから攻撃対象にされてしまった訳だから俺のせいだ!」
『違う…!僕がいけないんだ!昔からそうだ、先生…黒原先生の事もそうだ、僕が知らな過ぎたから、僕がいけないんだよ…!!』
「ふ、二人共落ち着いて…」
ネガティブ思考な二人を隣合わせにしてしまったのは失策か、神羅は涙を流しながら必死にそう言い、独歩は狼狽えながら少しでも神羅の重荷を肩代わりしようとしていた。
その喧嘩擬きを収めようと声を掛けるが意味が無いようだった。
「ん、な、何々…俺っちが寝てる間に何があったのさ…??」
「!一二三、おはよう。二人が喧嘩…?をしてしまってね、どうしようかな…」
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伏見桜(プロフ) - 鳳李千歳さん» ありがとうございます!少々雑な過去回になってしまいましたが…wこれからもよろしくお願いします! (2020年4月6日 7時) (レス) id: 5f2347556f (このIDを非表示/違反報告)
鳳李千歳(プロフ) - 続編おめでとうございます(≧∇≦)bこれからも頑張ってください!夢主くんの過去?がわかった瞬間驚愕しました!いつも応援してます! (2020年4月5日 2時) (レス) id: 94a41c4f40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伏見桜 | 作成日時:2020年4月4日 11時