chapter 71 ページ21
*
―――好きだよ
―――A
―――初めて見たときから
*
突然の告白に固まっている私を
向かいの窓越しにじっと見つめた後、
先輩はゆっくり目を閉じて、そのまま寝息を立て始めた。
(え、寝た…?)
何これ、何今の…。
ウソ?冗談?幻聴???
いや―――
『―――、ぁ…』
隣り合っていただけの手が、
指が―――、
『…つながってる』
控えめに小指だけがつながれた手に
さっきの言葉が嘘じゃなかったんだと
思い知らされる。
*
『―――先輩っ、あの!』
結局あれから、
先輩は一度も起きることなく駅についてしまった。
合宿所までは歩いて数分の距離。
その間になにか、
なにか話さないと―――。
『ああああの…!』
「―――返事は、」
『―――!』
数歩先を歩く先輩が振り返った。
「すぐにじゃなくて良い」
『―――、え…で、も』
フッ、と
先輩特有の、だけど少しだけ照れくさそうな笑みが暗闇の中で見える。
「迷ってるなら、気が済むまで迷ってくれて良い」
「だけど、気まずくなるのは…俺が嫌だから」
少し視線を伏せてから
前髪をくしゃくしゃして、もう一度私の方を見る。
「出来れば、今まで通りが良いんだけど」
『はい…!』
きっと、私がどんな答えを出しても
先輩との関係は変わらない。
そう思うと、
カチコチだった私の顔も自然と笑顔になる。
「…ん。帰ろ」
『はい!』
*
(でも早いに越したことはないからね)
(え!)
(…嘘だよ)
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Yuri(プロフ) - KANNAさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)笑っていただけました??キュンキュンしていただけました??(;▽;)嬉しいです!!個人的に健太郎さんのギャグパートが書いてて楽しかったです。笑 お気遣いと労いの言葉にも救われる思いです…ありがとうございます( ; _ ; ) (2016年6月12日 16時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - キュンキュンもして・・・本当に楽しい作品です!お仕事の合間で負担になるかもしれませんが、もしまた新しいストーリーを書いて下さったら飛びついて読みます!笑 最高です!お疲れ様でした(*^^*) (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - 読ませて頂きました。ストーリーもそれぞれの考えや言葉も本当に素敵で声に出して笑うこともあれば、 (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - じじさん» コメントありがとうございます(;▽;)イキナリでも予告ありでもなんでも構いません!!嬉しいです!!(;▽;)幸せに…なってもらえたなら本当に、作って良かったなぁ!!って思います。ありがとうございます。 (2016年6月11日 3時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
じじ(プロフ) - 初めまして。全部読ませてもらいました!とっても感動し、幸せな気分を味わえるお話でした(*^ω^*)作者さんの書き方?描写?がとっても好きです!!次作とか作る予定があればぜひ楽しみにしています゚(゚´Д`゚)゚。いきなりコメントしてすみませんでした(><)笑 (2016年6月11日 1時) (レス) id: 0114c047a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuri | 作成日時:2016年1月9日 0時