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chapter 53 ページ3

*





「…あ」

「?どうかしました?」





風呂を済ませて部屋に戻ってくると
ジャージの上着がないことに気付いた。





「いや、ジャージ忘れてきたっぽい」
「ああ…食堂ですかね?」
「かも。行ってくる」





ガチャン―――





廊下に出て食堂に向かう。

まだ寝るには早すぎる時間だからか
扉越しにあちこちから声が聞こえる。









(…あった)





お目当てのジャージはすぐに見つかった。

それを掴んでもと来た道を戻ろうと踵を返す。









―――パタパタ





誰かが走ってくる。

誰だろう、そう思っている間にその“誰か”は目の前を横切った。





風呂上がりなのか、少し強めにフワッと漂うシャンプーの香り。





俺はその香りを、その姿を、



自然に追いかけていた。









「―――A!」





パシッと、
手を掴んだ時に小さく音が鳴った。





『…えっ?』





宿舎の玄関へとまっすぐに駆けて行ったAは
俺の姿を見ると少し驚いたように目を丸くする。

俺に掴まれていない方の手には、すでに外用のシューズが。





「こんな時間にどこ行くの」

『…あっ、違うんです。―――星です星!』



星?



俺が首をかしげている間にも、
Aは外に出たくて仕方がないようでうずうずしている。





『マサ先輩、流星群ですよ!』



りゅ・う・せ・い・ぐ・ん!



そんな俺にわかりやすいように(いや、流星群が何かはわかってるんだけど)
一言一言はっきり言った後、ニッコリ笑う。





「…ああ」



なるほど、と言った感じで掴んでいた手を離すと
一瞬で扉へと駆けて行く小さい背中。

…そのまま俺なんか置き去りにして外へ出そうな勢いだ。



「待って。俺も行くから」



だけどAは今度は驚いた様子もなく、
まるでそうなるだろうとわかっていたように
扉に手をかけながら振り返り、早く早くと急かす。









いつもより格段に子どもっぽく見えるのは、気のせいじゃないと思う。





*

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Yuri(プロフ) - KANNAさん» コメントありがとうございます(*´ェ`*)笑っていただけました??キュンキュンしていただけました??(;▽;)嬉しいです!!個人的に健太郎さんのギャグパートが書いてて楽しかったです。笑 お気遣いと労いの言葉にも救われる思いです…ありがとうございます( ; _ ; ) (2016年6月12日 16時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - キュンキュンもして・・・本当に楽しい作品です!お仕事の合間で負担になるかもしれませんが、もしまた新しいストーリーを書いて下さったら飛びついて読みます!笑 最高です!お疲れ様でした(*^^*) (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
KANNA(プロフ) - 読ませて頂きました。ストーリーもそれぞれの考えや言葉も本当に素敵で声に出して笑うこともあれば、 (2016年6月12日 15時) (レス) id: 35cc4c3b7c (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - じじさん» コメントありがとうございます(;▽;)イキナリでも予告ありでもなんでも構いません!!嬉しいです!!(;▽;)幸せに…なってもらえたなら本当に、作って良かったなぁ!!って思います。ありがとうございます。 (2016年6月11日 3時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
じじ(プロフ) - 初めまして。全部読ませてもらいました!とっても感動し、幸せな気分を味わえるお話でした(*^ω^*)作者さんの書き方?描写?がとっても好きです!!次作とか作る予定があればぜひ楽しみにしています゚(゚´Д`゚)゚。いきなりコメントしてすみませんでした(><)笑 (2016年6月11日 1時) (レス) id: 0114c047a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yuri | 作成日時:2016年1月9日 0時

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