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前略ご挨拶 ページ1

拝啓おじい様


おじい様がこの世を旅立たれてから5年が経ちました

死ぬ間際まで俺の世話をしてくださって本当に感謝しております
おかげで今とても元気です。目は悪化の傾向ですが

これからもあなたの弟子とともにこの神社を守り抜いてみせます、どうか天から見守っていてください


それから…おじい様に出された質問の答え、未だに出せません

もう少しだけ待っててください。来年こそは…って5回目ですねかね…笑

でも必ず見つけ出してみせますよ


おじい様のことが一番大好きです

―――――


向「なに何〜お師匠に手紙かぁ、翔太くんも可愛いやん」

「う、うるさい!!…てかやめろって」

向「はぁ…怖いて、もっと穏やかにいこうや」


俺の名は渡辺翔太、この古びた神社の跡取り主だ


そして康二と呼んだこの男は向井康二、俺のおじい様に弟子入りして神社の神主修行をやっている

でもおじい様が亡くなった今、修行らしいことは出来なくなりそのまま居候として一緒に暮らしている


向「ロウソクよーし、花よーし、線香よーし!」

「いちいち確認することか」

向「…待って、水汲み忘れていたぁぁぁ!!……しゃーない、汲んでくるわ」

「気をつけろよ」

向「はいよ!!」


墓地は思ったより人ならざるモノが出やすい、憑かれたら祓うのに時間と労力がかかる


向「あー、階段大変やわ…」


俺は幼い頃から不思議な体験をしたり見えざるものが見えたり、まぁ神社の家系だしそんなものかと

そんな俺を見た両親は酷く気味悪がり
そしてある日夜逃げした――


―――――

向「翔太くん〜お待たせーっ」

「おう、康二にさせちゃって悪いな」

向「ええねん、気にせんといて」

「お前、良い奴だな」


流石おじい様の一番弟子なだけある


向「たっくさん汲んできたでー!」


"偉いでしょ?"とでも言いたげそうな声で言う


「あーはは、凄いな」

向「やろ?嬉しいわ翔太くんに褒められて」


素直で愉快な奴だな笑


――――両親の死と言えば…

雨の日に猛スピードを出していたせいでカーブを曲がりきれずそのまま崖下に落下


そう身内から聞いている


何故"聞いている"と他人事なのかって?


なぜなら俺は両親の最期に立ち会わなかったから



向「…あ、それとお師匠に供える花やけど…キンセンカとコスモスでええかな?」

「いいと思う。確か大好きな花だった気がする」


息子を捨てたバチが当たったのだろう
二人の悲報を聞いても何も思わなかったぐらいだから

神主と弟子と従兄弟→



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雨乃ふあ(プロフ) - えなさん» 閲覧していただきありがとうございます。毎日更新できるように頑張ります (2021年3月10日 2時) (レス) id: bc9832efa4 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください (2021年3月8日 12時) (レス) id: dc9b401a24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨乃ふあ | 作成日時:2021年1月26日 13時

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