神主と弟子と従兄弟 ページ2
向「そろそろ御屋敷戻りまっか」
「……うん」
夏の夕風が頬を簸たりと攫い真夏のはずなのにどこか冷たく淋しさを覚えた
時々ふと思う、おじい様がいたら…なんてね
寂しさなんて感じない性格なんだけどな俺
向「ま、また来ような！！ここに来ればお師匠に会える気がするし」
「……そう…だな」
俺の気持ちを汲み取ったのか色々と諭し言ってくれた
向「…あ、翔太くん肩貸すで。ほれ」
「こればかりは毎度ごめん…」
向「仕方ないやん、目ぇ見えへんのんだから」
「見えないことは無いんだけどね…」
俺は弱視だ。けど生まれつきではなく幼い頃の視界はハッキリとしていた……はず
向「よーし、段差超えたで。もう大丈夫や」
「ありがとう」
向「帰ったら翔太くんの好きなきつねうどん作るわ」
「…康二のきつねうどん、まじで美味いんだよな」
向「あ、ほんま？じゃあたんまり作ろ…」
「俺少食なんで、沢山作られても困るから」
向「えぇ…急なツンツン来るやん」
「別にツンツンしてないから笑」
最後に見た記憶は同じ年端くらいの子と蹴鞠をして遊んだ風景だっけ？
―――――
向「やっと着いたな」
墓地と神社までは結構距離がありその間を荷物持ちと俺を誘導してくれた康二。感謝だな
「…着いたか、ご苦労さま」
向「いえいえ。物音……？あ！ふっかさん」
「……何？深澤来てんの？」
"深澤"と呼んだこいつは深澤辰哉で俺の従兄弟にあたるやつ
時々神社で催しものがある時に手伝いに来てくれる
だけど今日は何も無かったはず
深「おかえり二人とも」
「何、人の家勝手に上がり込んでんだよ…」
深「いいじゃん、別に減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃねぇよ笑」
向「ええやん！俺ふっかさんも居た方が賑やかで好きやねん」
深「ほらぁ康二もこう言ってるじゃん」
「あのなぁ…お前ら自由すぎ、俺の目が不自由じゃなかったら直ぐに追い出しているんだからな」
深・向「きゃあ怖いなぁ〜」
「うざっ…」
こいつら完全に調子に乗ってやがる
「もういいっ、部屋行く」
向「翔太くん自分で戻れる？」
「戻れるわ！！」
家の中だけでも、と康二につけてもらった手すりを伝い自室に戻る
「はぁ、やっぱり部屋にいる時が落ち着く」
誰にも邪魔されない一人だけの時間
「huhuーhu―hu―Ah♪」
小さい頃おじい様に聞かせてもらった子守唄のような歌
15年たった今でも忘れずに色褪せることなく鮮明に覚えている
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 363人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨乃ふあ(プロフ) - えなさん» 閲覧していただきありがとうございます。毎日更新できるように頑張ります (2021年3月10日 2時) (
レス) id: bc9832efa4 (このIDを非表示/違反報告)
えな(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください (2021年3月8日 12時) (レス) id: dc9b401a24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雨乃ふあ | 作成日時：2021年1月26日 13時
