【銀魂】拷問幸福興奮少女IV【土方十四郎】

百八コ目 ページ29

【母親】は恐怖の対象だった
【父親】は尊敬の対象だった
【兄】は【慈悲】の対象だった

兄上は私にいつも泣きながら謝ってきた
彼自身辛かったのだろう
兄上が悪いんじゃない
【こんな風に生まれてしまった私】がいけないのだ
だから兄上には笑って誤魔化した
『大丈夫だよ』と言って

そう、私が言えたのは兄上が普段から私に優しく接してくれたり、遊んでくれたからだ
だから恨むこともなかった

兄上は私が望まない婚約を破棄した
父上が不慮の事後亡くなった後だ
父上が亡くなった後の兄上は何処か遠くを見つめる様な、ぼうっとしていることが多くなった

それからだ
兄上が家に戻ることが少なくなって、家業さえも疎かにし始めた
そして最後には高杉晋助の元について行った

私の人生は灰色だ
『痛み』すら知らない【バケモノ】
『死』すら知らない【バケモノ】

私は【バケモノ】でも【愛】を求めた
家族、或いは見ず知らずの誰に

「...か！...う......か！」

脳を掻き回されそうだ

「大丈夫ですか！？」

「五月蝿いッ！！！！」

思いっきり私に近づこうとする者を取り払った

「ぶっ殺されてェのか？」

目の前には明らかに動揺する者がいる
私を誰かが傷つけようとしている
【意味なんかないのに】

「お、落ち着いてください、Aさん！！」

「ッ......鉄、之助..？ ...ごめんなさい 動揺、していたわ」

私は鉄之助に顔を見せられなかった
自分に負けてしまった自分が悔しくてたまらなかった
あんなに負の感情に飲み込まれるとは

「土方さんに...私は愛を...」





【愛を求めていたんだ】

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