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「…うん。私もそう思ってたけど、うん、過去形になってる…かな。」
好きだった。
お似合いだった。
同じ考えだった。
そう。
全部、過去形。
「…直ちゃん、裏切ってごめん。」
直人「…裏切られたなんて…。あ、いや、でも…Aはずっと一緒に居てくれるって思ってたから、こんな風になるって…。」
「本当にごめん。」
直ちゃんと一緒に居られればいいって思っていた頃と、涼介君に出会って、ファンとしてじゃ無く、一人の男の人として惹かれていく自分が居て直ちゃんとの別れを選んでしまった今。
直人「ずっとポスターのままで居てくれてたら良かったのに。
現実に、男として現れたら…かなわないよね(笑)」
直ちゃんのぎこちない笑顔に罪悪感は強くなる。
「…本当に…本当にごめんなさい。」
そんな私の頭を優しく撫でてくれた直ちゃん。
直人「謝ってばっかりじゃん。ってかさ、俺も悪いとこいっぱいあるし、お互いさまだけどさ。それでも、今、隣に居れないことが悔しくてさ。
Aにウェディングドレス着せてあげるのは俺が良かったなって。
本当に、本当に…そう思ってる。」
涙ぐんだ直ちゃんの顔が滲んで見えた。
直人「…ちゃんと幸せになってよ。俺は…泣き顔見たくないからな(笑)」
「直ちゃん…」
どうしても流れてしまう涙をティッシュで拭いてくれた。
直人「…俺ね、ちゃんと由美ちゃんとも向き合うから。
俺だって由美ちゃんに惹かれてたとこあるし。
だから、俺は一人じゃないって。」
そう笑う直ちゃん。
直人「これで良かったって言えるように…お互いちゃんとしようね。」
どこまでも大人な彼にただただ頭が上がらなくて、哲也さんのコーヒーが染みた。
直人「…これで、本当にさよならだよね。」
エレベーターの前で改めて直ちゃんの顔を見る。
「うん。明後日には引っ越しするから。だから、だから…さよなら。」
ずっと隣に居れるって思ってた。
居たいって思ってた。
だけど、こんなにも世界は変わってしまった。
直ちゃんが幸せになれますように。
それが、直ちゃんとの最後の夜だった。
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作者名:moon0629 | 作成日時:2020年12月9日 2時