リアルは俺だけにしてね~Ｙバージョン~ (ページ2)

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福岡での夜。

山田「俺のにしたくなっちゃうじゃん。」

そう言われて、頭を撫でられた。

その手が心地よくて、このまま彼と一緒だったらって。

そして、直ちゃんには私じゃ無くて由美さんがいるって。

「山田くん…あの…。」

山田「涼介がいいな。

俺はAちゃんって呼んでるから。」

「え…っと…

涼介くん？」

山田「うん♪すごい嬉しい。」

この笑顔。
私が好きな笑顔。

この笑顔をずっと見ていたい。

…好き…だな。

そんな時、携帯が震えた。

「あ…」

直ちゃんから。

山田「出る？」

「…」

山田「出ないで欲しいな。」

「え？」

鳴り続ける携帯。

山田「今は…俺との時間だから」

私はその言葉に、通話ボタンを押せなくて、電源を切るボタンを押してしまった。

だって…こんな表情を好きな人にさせてしまっている。

悲しい想いをさせている。

山田「ごめんね、無理言って。

だけど、目の前で話されるのは…きつかったからさ。

…ねぇ。」

「ん？」

山田「…俺にさ。チャンスってあるのかな？」

こんなキラキラのアイドルに何言わせてるの？って自分を殴りたい。

こんな私の為にチャンスって…。

だけど、山田くんの目は揺れていて、不安そうで。

私は、自分の気持ちに正直になっても…許されるのかな。

直ちゃんにちゃんとサヨナラって言わないといけない。

「…ごめん。」

山田「…。」

「ちゃんとするから。

だから、ちょっとだけ待ってて欲しい。」

そんな私の言葉に彼は驚いた顔をしていた。

山田「え？え？

えっと…それって…

待ってていいってこと？」

「…うん。

だけど、ちゃんと会って話して、私の気持ちを直ちゃんに…あ、直人さんに伝えたくて。」

私は、自分の気持ちの変化を受け入れた。

「ちゃんと話をして、そして…

別れてくるから。」

学生の頃から私を見てくれていた直ちゃん。

年の差があっても気にせず、好きだと伝えてくれていた直ちゃん。

子どもみたいにオムライスのケチャップを口につけていた直ちゃん。

どんなことからも私を守ってくれていた直ちゃん。

山田くんのポスターを剥がさないでいてくれた直ちゃん。

いっぱい、いっぱい…本当に好きだった。

でも、私は離れる決意をした。