3 ページ4
*
私は隣にいるテセウスさんを見上げる。
性格や容姿など、全く似てない兄弟なのに今のテセウスさんにニュートの面影がちらつき、自分の隣にいるのがニュートだったらと考えてしまう。
人の恋人を好きな人に重ねるなんて、本当に重症だと自分でも思う。
「ん？どうしたゆか？」
『いいえ、なんでも』
「悪かったな、ニュートじゃなくて」
『え？』
私はテセウスさんの言葉に口に出てたのかと思い、自分の手で口を覆う。
彼はそんな私の行動を見てあははは。と笑いだす。
「口にはしてないよ。顔に書いてある。隣にいるのが私じゃなくて、ニュートだったらなって」
『え、あ…いや』
「まったく。こんな、わかりやすいのに自分の弟ながら、実に鈍感だ」
『……』
テセウスさんは私が落ち込んだのかと思ったのか頭をポンと撫でる。
すると後ろでバサッと物を落とす音が聞こえると撫でていたテセウスさんの腕と私の腕が掴まれた。
そこにいたのは息を切らし、肩を上下するニュートだった。
下には傘が落ちていて、先の音の正体は傘だった事が分かる。
傘を差していないニュートの青いコートは雨で濡れ、色が変わっていた。
『…ニュート？』
「ゆかは僕が送る。この先のカフェでリタが待ってるからテセウスはリタをお願い」
ニュートはそう言うとテセウスさんを残し、半ば無理矢理に私の腕を掴んだまま、歩きだす。
マグルに見えないようにニュートは杖を一振りし、傘を手元に戻す。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆか | 作成日時：2019年1月19日 2時
