第5話 ページ6
(夢主)side
『ッ、え?』
急に抱き締められ、動揺したせいか、少し間抜けな声が出る。
先程まで私の事を警戒していたように見せていたこの人が、こんなあからさまに警戒を解き、その上抱き締めるなんて.....。
何かあるのか?
いや、でもこの人は完全に私に惚れていた。
...あ、勿論恋愛的な意味ではなくてね?
だから、変なことはしないだろうし、完全に疑ったり、敵としてみなすことは出来ないと思う、けど...。
数秒、その人は私を優しく抱き締めていた。
そして、
紅「此方こそ、よろしく頼むぞえ。(夢主)や。」
そう云った。
その声色が、どうにも優しく、愛おしげで
『どうしてさっき出会ったばかりなのに
こんな風に出来るのだろう』
という疑問と同時に
"此方の世界"で私を救ってくれた"あの人"を想い出した。
感情なんて、もう無いものだと思っていたのに
あぁ
.
.
暫く経つと、尾崎さんは私から離れ「急に抱き締めてしまってすまなかったのぅ」と云い、頭を撫でた。
対応の違いは明白だった。
先程まで私を睨んでいたいた瞳は、優しいものに変わり
微かな警戒心が滲み出た表情は、ふわりとした笑みを浮かべ
強く握った拳は、私の頭を優しく撫でていた。
紅「では行こうかの。」
尾崎さんはそう云うと、頭にあった手を私の左手に持ってきて、優しく握った。
私はなにも言わず、尾崎さんに連れられ歩いた。
.
.
何だか、不思議な気分になった。
(夢主)side終了
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銀砂売り子 - 面白い!更新楽しみにしてます! (2022年7月30日 15時) (レス) @page7 id: 106608bd1e (このIDを非表示/違反報告)
こうは@Luna#推しが尊い(プロフ) - めっちゃおもしろいです!更新頑張ってください!! (2022年3月5日 8時) (レス) id: 908f16ce99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:景ちゃんくん | 作成日時:2021年7月5日 2時