僕達は君を救いたい【文スト】【幸色のワンルーム】 (ページ3)

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第３話ページ3

紅葉side

紅「そうか。

着いてこい。少し話をしよう」

『え！お話！

やったー！嬉しい！』

明るく笑顔で云うが、何処か感情が乗っていない。

不気味な話し方だ。

『ねぇ、お姉さん私ね』

『イライラしたら殴って良いし無視したって良いし

５日くらいなら食べなくても、水さえあれば大丈夫だよ。

やれって言われたことなら何でもする。

狗にだって捨て駒にだってなるよ。

だから__________

好きに使って』

そう云って少女は嗤った。先程よりは、感情も見える気がする。

紅「....ならば、マフィアに入るに当たって大切な事を云おう。

一つ、首領(ボス)の命令には従う事。

一つ、私の云うことは絶対ではないが聞く事。

一つ、私に敬語を使わぬ事。

一つ、組織に"ある程度"の忠誠を誓う事。

一つ、好き嫌いを私に報告する事。

それと――――――――――

少しで良い。本心を話す事。

以上じゃ。」

私はそう言うと、再び少女に背を向けた。

『...

うん!わかった!』

少女の言葉は、様々な感情を押し潰し、只々この場をやり過ごすために発したもののように感じた。

『じゃあ、此れからよろしくね！お姉さん。』

明るいトーンで言った少女。

だが、"お姉さん"と呼ぶ声が此方を探るように聞こえたのは、気のせいだと思いたい。

ﾀｯ
ﾀｯ
ﾀｯ

少女が小走りで私の横に並んできた。

....愛らしい

紅「そういえば小娘、名はなんという。」

『A、Aだよ!

お姉さんは？』

紅「私の名は尾崎紅葉じゃ。」

『へぇ！綺麗な名前だねぇ!』

眩しい位の笑顔で云う。

此奴.....愛いのぅ。

紅「時にAよ。

お主、何故私がポートマフィアの幹部だと解った？」

『あ、やっぱり合ってた？よかったぁ。

...実はさ、お姉さん達のお話、一寸盗み聞きしてたんだよね、』

えへへと笑うA

紅「.....そうか。」

気付かなかった。

改めてAを見る。

紅「ｯ！？」

先程までは光の当たらぬ場所に居たのであまり見えなかったが、彼女の躰には至るところに痛々しい傷や痣があり、其を隠すように包帯を巻いていたのだ。

慣れていた、筈だった。

寧ろ、此よりも酷いものも見たことがある筈なのに Aのこの姿はどうにも痛々しくて

見ていられなかった。

『ねぇ、お姉さん』

『改めて、此れから宜しくね。』

Aは、笑顔でそう云った。