手遅れ l o v e r ((緑)) (ページ9)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:59,849 hit

late 9 ページ9

「すみませんお席お時間なので退店お願い致します」

『あ、はい』

帰ろうとする頃には、Aはもう酔っ払い切っていた。

「たーよし、お金」

約8000円のお会計で、5000円札を俺に持たせる。

『いらんて。俺払うし』

「だって、」

『ええから、しまって』

「んー、」

お会計をしてもらっている間、彼女が俺のポケットに札を入れる。

お釣りをもらってすぐ札を取り出し渡すと、不服そうな顔をする。

「じゃあ、1000円！これならいいでしょ？」

そう言って半ば無理やり渡し、ごちそうさまと微笑む。

ふらふらの足取り、今にもこけてしまいそうな彼女の手をとる。

「んふふ、繋いでくれんのー？」

『お前こけそうやもん』

「こけないよー」

暑い夏なら、手の温度が上昇していることも言い訳できそうな気がした。

酒で潤んだ瞳を見つめたら、溶かされてしまいそうな程だった。

『A、』

人通りのほとんどない道で彼女を呼ぶと、なんの疑いもなく俺を見つめる。

…その目が、あかんねんて

「やだよ、」

唇が触れ合う、スレスレで

彼女は、赤いほっぺたのままキスを拒んだ。