手遅れ l o v e r ((緑)) (ページ20)

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その日、夢で君を見たんだ。

ふわふわの長い髪の毛に、愛らしい笑顔。

白いワンピースに、淡いピンク色のパンプス。

こっちこっちって、俺を呼ぶくせに

俺が手を伸ばすと、君はその手を振り払った。

「忠義、あのね…」

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そこで、アラーム音によって遮られてしまった。

『…夢、』

あれから、2ヶ月経っていた。

季節は段々春に移り変わってきていて、日中は暖かい。

朋奈とは順調と言えば順調で、大きな喧嘩もしていない。

Aは、もうすぐ就職で戻ってくるはずだった。

『あーもう！』

アラームにより意味深な夢を遮られたことで、少しイライラする。

しかも何回目かのアラームで割と寝坊してるし。

何やねんあれ

心臓に悪いねんてほんま

顔を洗ってその水気を乱暴にタオルで拭う。

バイトの時間が迫ってきていた。

バタバタと準備をしながら、スマホを確認する。

寝ている間に来ていた朋奈からの通知を既読をつけないように確認して閉じた。

白いシャツを羽織って、すぐに家を出た。

自転車に跨り、坂道を駆け下りる。

何も入っていない胃が、きゅっと縮まるような感覚がした。