ブランケット:綾部喜八郎※現パロ ページ10
半年前に入居したばかりの部屋にドーンと置かれたソファに座る。
目の前にある机の上のリモコンを取って、何となくテレビをつけた。
休日の昼過ぎには、新婚さんの話を聞く番組しか面白そうなのがやっていなかった。
「な〜んにもやってないね。」
隣でくつろぐ喜八郎がう〜んと伸びをしながら言った。
「休日だもの。仕方ないよ。」
「それもそうだね。」
私はテレビを消して、ソファの上で体育座りをした。
行儀が悪いのは分かっている。
「さむ〜い!!!」
何処からか入ってくる隙間風が私の足先を冷やしてしまったのだ。
「喜八郎〜温めて〜。」
そう言いながら喜八郎がいるはずの隣を見ると、喜八郎はいなかった。
「あれ!?喜八郎どこ行ったの!」
「ここにいるよ〜」
喜八郎の声が聞こえたのは私たちの寝室だった。
「何してるのー?」
「う〜んちょっとね。」
立ち上がって様子を見に行く気力が無かった私は、そのまま再び蹲った。
喜八郎はガサガサ音を立てて何かを探している。
あった、という声も聞こえた。
パタパタとスリッパの音をたててこちらに戻ってきた。
隣に喜八郎が座ったのか、ソファが少し沈んだ。
それと同時にフワッと温かいものが私を包んだ。
「ほら、これなら少しは温まるでしょう?」
喜八郎はそう言って私にくっついて、一緒にブランケットに包まれた。
喜八郎の体温がジワジワと伝わってくる。
温かさのあまりに2人で寝てしまったのは
私達だけの秘密。
人間になりたい:竹谷八左ヱ門→←忘れられなかった:善法寺伊作
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作者名:優乃 | 作成日時:2020年12月20日 2時