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「仙蔵、いる?」
そう言って仙蔵の部屋の襖を開けた。
そこには普段なら見れない、だらけた仙蔵がいた。
「仙蔵...?」
「何しに来たのだ。」
仙蔵は体勢を変えることなく、口元だけを動かした。
「ちゃんと話さないとと思って。」
「別れたいのに今更何を話す?」
「私、別れたくないよ。」
声が震えた。
「もっと仙蔵といたいよ。」
目の周りがジワジワと熱くなる。
「あの2人みたいに、手、繋いだり。」
視界がぼやける。
「一緒に、出かけたり、したいよ。」
涙が頬を伝う。
「仙蔵の事大好きなんだよ。」
そこまで言うと私の涙は一気に溢れてきた。
可愛げのない泣き声が響く。
一生懸命涙を拭いても溢れてくる。
「おい。そんなに泣くんじゃない。」
ふわっと仙蔵の香りがした。
顔をあげると優しく微笑む仙蔵がいた。
「私も、お前のこと大好きだ。」
仙蔵はそう言って私を抱きしめた。
「本当にすまなかった。」
「私も、ごめんねぇぇぇ」
泣きながら喋ろうとするせいでまともに喋ることも出来ない。
「何を言っているかさっぱり分からんぞ」
そう言いながら笑う仙蔵が世界一愛おしかった。
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作者名:優乃 | 作成日時:2020年12月20日 2時