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言わなくたって:善法寺伊作 ページ1

彼と恋人になってどれくらい経っただろうか。
多分、1年は経とうとしている。

私は六年は組の善法寺伊作と恋仲である。
5年の頃に伊作に告白されて、そこからずっと続いている。

そんな私には悩みがある。
それは、彼に好きと言えないことだ。
もちろん好きな気持ちはある。
好きどころか大好きだ。
ただ、それを直接言うとなると、恥ずかしくて言えないのだ。

「どうしたらいいのかなぁ...」

好きだよと一言言えばいいだけなのに、ドッドッドッと心臓がうるさくて仕方ない。
言わなくてもいいのでは?と思ったこともあったが、それでは伊作が不安になると同室に叱られた。

同室をこれ以上怒らせない為にも、伊作を不安にさせない為にも、私は好きと言わなければならない。

「よし!悩んでてもダメだ。いっその事、もう言ってしまおう!!!!」

私はそう言って部屋を出て医務室に向かった。



医務室に近づけば近づくほど、私の心臓の音が大きくなっていく。
医務室の前に来る頃には、もう口から出てきそうになっていた。

私は障子をゆっくりと開けた。
中には伊作が作業をしている。
他の後輩たちは見えない。

「あれ、A。どうしたの?」

伊作は私の気配に気づいたのか、作業を辞めてこちらを向いた。

「医務室に来るなんて珍しいね。何かあった?」

「あ、いや、その、違くて。何も無いんだけど。」

「うん?」

こてんと首を傾げる姿はあまりにも可愛かった。

「とりあえず中に入ったら?」

「あ、うん。そうだね。」

私は医務室に入り、伊作の目の前に座る。

「きょ、今日はね、伊作に言いたいことがあってね。」

「うん。どうしたの?」

優しく微笑みながら私の話を聞いてくれる。
伊作の目を見たら恥ずかしくて倒れそうだ。

「あのね、いつも言いたいんだけど言えないことがあってさ。」

さあ言え!言うんだ!!
好きって!言うんだ!!




ダメだ。言えそうにない。
伊作はじっと待ってくれている。
私は言いたいけど言えなくて下を向きながら口をパクパク動かしてしまう。

「あ、ごめん。今日は言えそうにないから、また今度でもいいかな?」

私がそう言って伊作の顔を見上げようとした瞬間
私は伊作の匂いに包まれた。

「え...?」

「言わなくたって、ちゃんと分かってるよ。」

伊作はそう言って頭を優しく撫でた。

「そんなに顔を真っ赤にして言いたいことなんて1つしかないだろう?僕も大好きだよ。」

伊作はそう言って私の唇にそっと自分の唇をあてた。

苦しい:不破雷蔵→



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設定タグ:忍たま , RKRN , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:優乃 | 作成日時:2020年12月20日 2時

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