不死川さんといっしょ(物理)【不死川実弥】

物理。拾弐 ページ14

真っ赤な顔をした天野、べったりとくっつく時透、滅茶苦茶不機嫌そうな不死川。
そしてニヤニヤ見ている胡蝶に顔を隠す甘露寺。


面白いことになってんな！祭りの神は派手にこういうの好きだぜ。
俺は耳が良いから全部聞こえてんだよ。ガキのくせにやるじゃねぇか、時透。
いや結局天野好きかよ不死川。いつも以上に表情怖えよ。
そして間にいる天野というと。


『えっとね、時透くん。私は誰のものにもならないからね？』

「ほんと？」


おいおいおいお前も不死川好きなら希望持たせんなよ拗れるだろ！！
あ、でもこいつの場合気づいてなさそうだからな。
そう内心荒ぶるも、天野は気にせず続ける。


『私、ものじゃないもん』


そこかよ！！此奴いつもどこか抜けてるんだよな…
さっきから突っ込みが追いつかねえよ。
すると、胡蝶が笑顔で聞く。


「じゃあAさんはどういう方が好みなんですか？」


あ、不死川の肩が揺れた。わっかりやすいな、お前。


『ええ…うーん、 蜜璃ちゃんは？』


伊黒も肩揺らしてやがる。つかみんなしれっと聞いてんのかよ。
きゃーっ！と言いながら甘露寺が口を開く。


「私、自分より強い殿方に添い遂げたいの！」

『わあ、じゃあ柱の誰かかなー？』


調子を取り戻した天野が伊黒にニヤッと笑いかける。
天野は伊黒をイジるところあるよな。


その時。


「…お前は、どういう奴が好きなんだよ」


不死川が、動いた。







『えっ？え、私ですか…？』


視線で伊黒さんをイジっていた時、急に不死川さんから振られた言葉。
真っ向からそういうこと言われると照れる。あっ宇髄さん腹抱えて笑ってる、やめて。
伊黒さんから煽りの目という反撃を受けていたら、頭の中で推敲する前に口走ってしまった。


『不死川さんみたいなひとがいいです』

「は！！？」


やば、やらかした。
蜜璃ちゃん真っ赤になって顔隠しちゃった。私も全く同じことしてるんだけど。
しのぶちゃんは綺麗な顔でにこにこ笑っている。
ちらり、と隣を見れば。


おはぎ以外ではじめて、不死川さんが顔を赤くしていた。


また、どきっとした。…心臓が鳴り止まない。
私もしかして、本当に不死川さんが好きなの？


そう思ってしまったのをオレンジジュースで流していく。
その時、この部屋の甘酸っぱい雰囲気を揺るがす声がした。


「僕、Aさんがいい」

『と、時透くん』


その瞬間、柱のみんな(不死川さん以外)が固まった。


「は？やらねェよ」


私も固まった。

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