ばいとさんた (ページ10)

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「…とうちゃーく」

「うみだぁ」

「ふふ、寒くなーい？」

「へーき！」

少し風が強く吹いており、肌寒い。
子供は風の子という言葉通り、私はガタガタ震え、少年はキャキャとはしゃいでいた。

「元気だねぇ」

「そんなのんびりする時間もねぇからな。
もしあの子の親が気づいたらどうする。お前だけの責任じゃなくなるからな」

「わーってるよ。早めに帰るよう心がけてはいる」

「信用ねぇ」

しーくん、ほんと口悪いなぁ。
大丈夫、なんとかなる。それでずっと生きてきたし。私は。

あまり海に近づかないよう警告したからか、少年は砂浜で遊んでいた。手はすっかり泥まみれ。

「お姉ちゃんもまーぜーて」

「とんねる、つくるの」

お山を作って、トンネル掘って、

木の棒持って、砂浜でお絵描き勝負して、

貝殻拾って、どっちが綺麗か勝負して、

楽しい時間はあっという間。

時間は無慈悲にも、進んでいった。

「帰りたくない」

「んー、でもそろそろ帰らなきゃ」

プクーっと頬を膨らませる彼。本当に可愛い以外何者でもない。

「じゃあ、最後にお姉ちゃんからの贈り物」

「なーに？」

拾った貝殻を手に取り、目を瞑る。
カラフルなデザインを”イメージ”する。

再び目を開ければ、貝殻は虹色になっており、少年は目を輝かせた。

「すごいっ、すごーい！！」

「お土産、大事にしてくれると嬉しい」

もちろんっ！