ばいとさんた (ページ2)

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発端はいつか忘れた。

家が貧乏でバイト探しに明け暮れていた時、電柱に貼られた1枚のポスターが目に入った。

￣

バイトサンタ、募集中

￣

真っ白な紙に、黒いマジックペンで書かれた文字。
もはやこれはポスターではないのかもしれない…書道?

とにかく、バイトサンタとは…？ここには働き先の住所も電話番号も仕事内容の詳細も書かれていない。
なんだこれは。そもそも、サンタってあのクリスマスでプレゼント配るやつ？ここらへんの地域でのレクリエーションか何かだろうか…。絶対大変だ、きついのは嫌だ。

グルグルと思考を巡らせつつ、紙をガン見していた矢先、

「君、バイトやってくれるの」

声をかけて来た男の人。
背が高くて、美肌、切れ目が特徴的な黒髪の、顔が整っている男性で、

「あ、はい」

思わず反射的に返事をしてしまった。

…断じてお相手さんのお顔がイケメンだったから、とかでは無い。断じて。