177話 素直に笑えない理由 ページ35
《ミツバ篇》
ミツバ「あら、どうしたの?こんなに朝早くに」
近藤「いやー、ちょっとミツバ殿に話をしに来たっていうか・・・お願いをしに来たっていうか・・」
私の目の前には栗色髪の女の人。
その人がこちらを見る。
ミツバ「あら?近藤さん、その子は?」
その人はそう言って近づいてくる。
私は逃げようと近藤さんの後ろに隠れた。
近藤「あぁ、この子は・・」
総悟「Aじゃねぇかィ。どうしたんで?」
そう言ってきた総悟。
どことなくこの人と似ている。
ミツバ「そーちゃんのお友達なのね。紹介してくれてもいいじゃない」
そーちゃんと言ったその人は総悟に言う。
総悟「友達なんかじゃねぇでさ」
すると近藤さんが
近藤「ミツバ殿、この子は小湊Aちゃん。いろいろ理由があって、俺の道場で一緒に暮らしているのだが、男ばかりの中では暮らしにくいかなぁと思ってな。それでミツバ殿のところに連れてきたしだいだよ」
はにかみながら言う近藤さん。
ミツバ「あら、Aちゃんって言うのね。私はミツバよ。そーちゃんのお姉ちゃん。よろしくね」
そう言って微笑みながら話すこの人。
「・・・・・」
近藤「ほら、Aちゃん・・」
私に挨拶をさせようと促す近藤さん。
それでも私は挨拶をしない。
総悟「おい、姉上が挨拶してんだから、テメェもしなせ」
近藤「悪いなミツバ殿。この子、両親を目の前で殺されてしまって、心の傷が癒えないんだよ。俺以外には笑わないんだ」
近藤さんは悲しそうな言い方で話す。
ミツバ「・・・そうなの」
するとその人は、私の前でしゃがむと言う。
ミツバ「Aちゃん、辛かったわね?でも大丈夫よ?私が今からあなたの新しい家族。私だけじゃないわ。近藤さんもそーちゃんも、みんなみーんな家族よ。だから笑って?」
そう言ったその人は、私の頭を撫でると抱きしめた。
数日が過ぎても馴染めなかった。
近藤さんはいないし、この人と総悟と3人でやっていけるのか心配だった。
だけど笑わない私を受け入れてくれて、家族だと言ったあの人は、そんなことも気にせず、必死に私と総悟を育ててくれた。
総悟「テメェは素直に笑えないのかィ?」
「うるさい」
総悟「かわいくねぇな」
そう言って総悟が私を叩く。
それに対して私も叩き返す。
その攻防をしていると
ミツバ「ダメでしょ!!」
その人の声が聞こえた。
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小鈴 - 沖田の語尾の小さいひらがながあるじゃないですか。あれをカタカナにしたほうが読みやすいかもしれません!あと、とても面白かったです!これからも頑張って下さい! (2017年3月22日 11時) (レス) id: 7ef5a986e0 (このIDを非表示/違反報告)
femme - 久兵衞でなく、九兵衞ですよ (2016年6月21日 23時) (レス) id: 566dc5cd32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沖田いずみ | 作成日時:2015年12月9日 22時