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14話 土方side ページ16

「遅ぇ・・」


俺は自身の手に収まる筆を握りしめて呟く。


たく、たかが煙草を買いに行くだけでどれだけ時間かけてんだと思う。


『否定も肯定もしないって事は、どう捉えても良いってことですよね』


総悟の発言に何も答えなかった俺に総悟はそう言った。


「あの野郎・・」


山崎に買いに行かせたが、アイツは俺とあの女の関係を面白がってるフシが見える。


「チッ」


俺は筆を置くと、上着と刀を持ち屯所を出た。


しばらく歩いて見えてきたのはかぶき町の駅。
そこから駅裏に入り、二つ目の角にたどり着けば見える小さなタバコ屋。
数ヶ月前までは年老いた婆さんが切り盛りしていた。


「ありゃ?逢い引きじゃないんで?だってアンタ土方さんのコレだろィ?」


店に近寄ればさっき消えた総悟の声。
その総悟の言葉に山崎の本気にした反応が聞こえる。


あの野郎、また逢い引きだなんだ言ってたのかと呆れる。


「ち、違います!!私と土方さんはそんな関係ではないです!!」


女は力を込めて否定している。
そりゃそうだ。
俺なんかと逢い引きの噂なんざされて、女もたまったもんじゃないだろう。


「でもアンタは土方さんの事、好きですよね?」


総悟の言葉に俺はドキリとした。
その場も静まり返っている。


なに言ってやがんだ、アイツ!!


「・・・」


女もどう返答していいのか困っている。
あのままじゃ可哀想だと思い


「たく、どれだけ待たせるつもりだ。煙草一つも買いに行けねぇのか」


店に入り声をかけると慌てた様子の女。


「ひ、土方さん!!」


「なんでィ、結局来たんですかィ?」


総悟は不満そうな顔だ。


「たく、良いところだったのに邪魔しやがって」


「あ?」


俺は総悟を睨むように見た。


どうしてかはわからないが、その先を女の口から聞きたくなかった。
きっと女は俺のことはただの常連客としか思っているだけだ。
女の名前も知らねぇんだしな。


そんな俺と総悟の一発即発の雰囲気に気づいたのか


「ひ、土方さん」


「なんだ」


「お怪我をされたのではないですか?ご病気なのではないですか?そしたら煙草は控えた方が・・」


「は?」


俺は固まった。
なに言ってるのだろうか、この女は・・。

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作者名:沖田いずみ | 作成日時:2018年2月13日 10時

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