１０話 土方side ページ12
「・・・」
俺は書類に目を通しながら思う。
「副長！」
山崎の声で反応し俺は部屋の入り口を見る。
「なんだ」
「ちょ、なんでイライラしてるんですか・・」
ビビっているのか山崎はビクビクしている。
まぁ俺がイライラしているのには理由があるがな。
「たく、煙草が切れたら部下に当たり散らすなんて、副長が聞いて呆れまさ」
「勝手に入ってくんじゃねぇよ」
俺は乱入してきた総悟に言う。
「俺がお使いに行って来てやってもいいですぜ」
「絶対にテメェにだけは頼まねぇよ」
俺は再び書類目を通す。
チッ、煙草１本ないだけでこうだとはな。
「じゃ、俺じゃなければいいんですね」
「は？」
俺は総悟のその言葉に再び奴らに目線を向ける。
「山崎」
「え？俺？」
「歌舞伎町の駅裏の２本目の角」
「へ？」
総悟の言葉に山崎は未だわからない様子。
「そこに前までババア一人でやってた煙草屋がある」
そこが土方さんの行きつけでィ。と話す総悟。
総悟の言葉に頭に浮かんだのアイツの顔で・・。
「そこで買ってこい。土方さんの頼まれたってそこの若い女に言えばすぐにわかりやすぜ」
「な、お前！！」
山崎はキョトンとしている。
「そこに土方さんの逢い引きの相手がいまさ」
「あ、逢い引き！！？」
「テメェ！！なに言って！！」
総悟の言葉に山崎はかなり取り乱している。
「いやぁ、いい女でしたねェ。アンタにはもったいない女ですね」
その総悟の言葉に確信を持った。
「・・テメェ・・・まさか・・」
アイツに会ったのか？と聞く。
「ちょいと気になりましてね」
「チッ」
俺と総悟の間にはピリピリとした雰囲気が漂う。
間に挟まれた山崎は、どうしていいのかわからないという顔をしている。
「副長・・沖田隊長・・」
「テメェ・・どういうつもりだ」
「見てて焦れったくてね」
アンタ、やっぱり気になってやすよね？あの女。と総悟はニヤリと黒い笑顔で言う。
「毎日買いに行ってやすもんね？今日は行かないんで？待ってやすぜ？」
バカにしたように笑う総悟。
だがココで総悟の言う通りになるのはかなり癪だ。
「・・知るかよ。山崎、煙草買ってこい」
俺の言葉に山崎は急いで出て行った。
「否定も肯定もしないって事は、どう捉えても良いってことですよね」
そう言って総悟も部屋を出て行った。
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作者名：沖田いずみ | 作成日時：2018年2月13日 10時
