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36* ページ38

桂「いまだ傷は癒えず、か」


近藤「そのようだな」


去って行った二人の姿を見て、桂と近藤さんは独り言のように呟いた。


土方「みんな色々変わっちまったが、アイツらだけは何も変わんねぇ・・。なんとなくそう思ってたんだがな」


その言葉に


総悟「無理もねェ。俺たちの大将は戻って来たが、アイツらの大将は帰ってこねェんだから」


それだけ言って俺は立ち上がった。


土方「どこに行く」


総悟「決まってるでしょ」


そう言って俺は畳に寝そべる隊士どもを避け、少し静かになってしまった部屋を後にした。


総悟「・・・」


俺はゆっくりと隣の部屋の障子を開ける。


土方『・・お前・・・目見えてねぇな』


土方の言った言葉で、俺が何もできない悔しさが辛い。


『そうですね。一緒に肩を並べて戦えません』


Aのあの言葉。
でも本当に一番悔しくて辛いのは・・アイツなのに。


総悟「・・ごめん、A」


そう言って俺は、布団で眠るAの白くなってしまった髪を撫でた。


「・・謝らないで」


総悟「お前、起きて・・」


目の前には目を瞑ったままのA。


「総悟のせいじゃないのに謝らないで」


ゆっくりとAの手が頭にあった俺の手を掴んだ。


「総悟」


総悟「あ?」


「倒れるまで何しようがほっとけって言ったけど・・」


俺の手を握る手に力が入った。


「言ってすぐに倒れちゃったよ、フフッ」


目を瞑ったまま口元は笑っている。


総悟「やりたいようにやれ。ただし無理はするなって俺は言ってんだ」


「わかってる。だけどね・・」


そう言って溜め込むと、Aはゆっくりとまぶたを開いた。


「だけど・・」


Aの手が震えたまま伸ばされた。


「インチキ抜刀斎の顔も、なんとなくしかわからないんだよ・・」


総悟「A・・」


俺は握られていない方の手でAの震える手を掴むと、俺の頬に持っていった。


「世界は真っ白だ・・。お兄ちゃんの言った言葉は嘘だよ」


そう言ってAの視線の合わない目から雫が落ちた。


総悟「・・いいや、真っ白じゃねェ。俺がいる限り、お前の世界は真っ白じゃねェ」


「・・・」


総悟「大丈夫、昔はお前の目に・・鷹の目に頼りっぱなしだった。だから今度は治るまで、俺がお前の目になる」


治ったら鷹の目様には頑張ってもらうからなと俺は笑った。


「・・総悟」


自身の目から流れる雫を知らぬフリをしたまま。

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ユズ風呂(プロフ) - 完結編でぶっちゃけ夢主ちゃんの格好何に似せたんですか? (2019年4月28日 16時) (レス) id: 8ff75eaee8 (このIDを非表示/違反報告)
沖田いずみ(プロフ) - 紫蘭さん» リクくれて始まりも遅かったのにそう言われて頑張れます!!涙腺崩壊しちゃってください笑笑 (2017年12月3日 21時) (レス) id: 028374920b (このIDを非表示/違反報告)
沖田いずみ(プロフ) - りんごあめさん» そう言ってもらえると頑張れます!!長引いてますがよろしくお願いします!! (2017年12月3日 21時) (レス) id: 028374920b (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 逆にもっと長引いてほしいです。切実に…笑 毎日毎日涙腺と格闘してます…もう悲しくて悲しくて…。 引き続き頑張って下さい!! (2017年12月2日 23時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - むっちゃ好きです!むしろ長引くほどいずみさんの小説読めるので嬉しいです!1日の楽しみになってます!応援してます!! (2017年12月2日 23時) (レス) id: 7b8fac289e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沖田いずみ | 作成日時:2017年11月5日 22時

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